森ゆうこ(裕子)参院議員と私の訴訟判決が3月18日に東京地裁で下され、私は判決当日から「この判決につき毎日新聞は報じる責務がある」と言い続けてきた。しかし、いまだに記事が見当たらない。仕方がないので、毎日新聞に代わって、毎日新聞読者向けにポイントを解説したい。
今回の判決では、毎日新聞の記事を単に転載した行為が名誉毀損と認定された。
(森議員は自らのブログで、以下のウェブ版記事を特段加工せずに資料の一部として転載していた。)
WG委員支援会社が提案者から指導料 200万円、会食も(毎日新聞:2019/6/11)
これが何を意味するかというと、毎日新聞記事をうっかり転載したりリツイートしたりすると不法行為になり、損害賠償を命じられることがある、ということだ。
「全国紙だから信用して大丈夫だろう」という思い込みは禁物だ。
森議員は訴訟でまさに「全国紙の報道だから真実と信じた」と主張したが、そんな言い分は通らなかった。
東京地裁判決では、真実と信じる相当の理由としては「一応真実と信じるだけの合理的資料又は根拠」が必要であり、「全国紙で報道されたこと」をもって相当の理由があるとはいえない、とされた。
こうした判決が出たにもかかわらず、毎日新聞が何ら報じていないのは、読者に対してあまりに無責任というほかない。
もちろん、「不当な判決だ」と論評したいなら自由だ。また、一審判決であって控訴の可能性があることや、毎日新聞と私の訴訟の一審判決で別の結論が出ていることを付け加えたいならしてもよい。ただ、いずれにしても、事実としてこの判決は報じなければならないはずだ。
篠原孝衆院議員との訴訟判決でもやはり毎日新聞は報道しなかった。その際に私は「リコール隠しと同じだ」と批判した。自社の記事が「欠陥商品」と指摘されているのに隠ぺいしているようなもの、との意味だった。
だが、今回の判決はもう一段次元が違う。
- 篠原議員は、「毎日新聞を信用し、毎日新聞記事を根拠にブログ記事を執筆」だったが、
- 森議員は、「毎日新聞を信用し、毎日新聞記事を転載」しただけで不法行為が認定された。
もちろん転載やリツイートは、自ら文章を執筆するよりはるかに容易だ。
「リコール隠し」のたとえでいえば、単なる「欠陥商品」ではなく、触るとすぐ爆発してしまう「ごく危険な欠陥商品」の欠陥情報を隠蔽しているようなものだ。
取り急ぎ私からお伝えするとともに、毎日新聞の対応をお待ちしている。