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予算委で公述人として問題提起する原英史氏(衆院ネット中継)

2月15日の衆議院予算委員会公聴会公述人として出席し、「国会における誹謗中傷」につきお話しした。

私自身が誹謗中傷の当事者となった事案に触れつつ、以下の3点を求めた。

  1. 事実に基づく国会質疑を、誤ったときは責任ある対応を
  2. 免責特権と国会議事録の扱いにつき国会で議論を
  3. 政府は疑惑追及に対し真摯かつ毅然とした対応を

詳細はお時間あればぜひこちらをご覧いただきたい(私の公述は冒頭の20分弱、配布資料も掲載している)。

YouTube:公聴会での私の公述

結論からいうと、公聴会でこの話をしてよかった。

公述後の質疑では、与党や日本維新の会のみならず、立憲民主党近藤和也議員からも前向きに問題提起を受け止める発言があった。

<YouTube:公聴会での立憲・近藤和也議員の質疑(抜粋)

無所属・北神圭朗議員とは、野党合同ヒアリングのような官僚イジメは不適切との共通認識のもとで建設的な議論ができた。

<YouTube:公聴会での立憲・近藤和也議員の質疑(抜粋)

お2人の議員にとって、私の発言には不快な内容も含まれたかもしれない。それにもかかわらず前向きに受け止めていただいたことに心から敬意を表したい。今後の国会でのご活躍を期待し注目している。

「私的な反論」?野党一部議員の笑止千万

一方で、残念な対応もあった。共産党・宮本徹議員は「自らの抱える案件について私的な反論をとうとうと述べられた。公聴会の在り方としてふさわしいのかという点で言えば、甚だ疑問だ」と発言された。

<YouTube:当該シーンはこちら

また公聴会後、立憲民主党・小西洋之参院議員からは「原公述人の行為は国会への冒涜行為」とのコメントがあった。

国会の品位を貶めないよう公聴会で宮本議員には丁寧にお答えしたが、率直にいえば、バカなことを言わないでほしい。

私は、自分が不正を行った疑惑云々という不愉快極まりない話を、好き好んでしているわけではない。できることなら、さっさと決着をつけ、自分の記憶からも一刻も早く消し去りたい。

しかし、こんなことが国会の場で繰り返されないために、「国会における誹謗中傷」について誰かが問題提起しないといけない。一般論では聞く耳を持ってもらえると思われない。だから、当事者である私が役割を果たさないといけない。そう考えて、あえて国会の場でこんな話をした。

これに対し「私的な反論をとうとうと述べた」? 「予算案と関係ない話」だ? 「国会への冒涜行為」だ? 笑止千万だ。

大切な予算審議をすべき予算委員会でこれまで、根拠不明な疑惑追及や誹謗中傷を繰り返してきたのは国会議員の皆さん方だ。

宮本議員には「免責特権」ブーメラン

宮本氏(ツイッターより)

私は、より良い予算審議を行っていただくための意見を述べた。公聴会の議題に沿った内容だ。だからこそ、公聴会の前の予算委員会理事会で、立憲民主党の理事の方々も含め、私の「国会における誹謗中傷について」と題する資料配布が了解されたはずだ。

宮本徹議員の発言に対しては日本維新の会が懲罰動議を出した。これに対し宮本議員は「懲罰動議で威圧的に口を封じようというやり方はいかがなものか」と述べたそうだ。これにも呆れた。公聴会での私の発言中に「そんな話をする場ではない」などと威圧的な野次が何度も聞こえた。少なくとも私には、宮本議員の席の方向からに聞こえたが、あれは一体どなただったのか。

今回の一件で、宮本議員の免責特権関連の事案も掘り起こされている。報道によればかつて宮本議員は、選挙区の東村山市の生活保護行政が不適切になされていると国会で発言し、東村山市から根拠を示すよう求められたが応じず、抗議に対し「憲法51条(免責特権)に基づいて対応する」と回答したという。結局どう「対応」されたのか、宮本議員にぜひ伺いたい。免責特権のあり方を議論するうえで大いに参考にすべき事例だ。

呆れてしまうことが多いが、よかったこともある。宮本議員と小西議員の提唱により、今後は「予算委員会で予算以外の話をしてはならない」とのルールが確立されることだ。これは素晴らしい。もちろん疑惑追及は必要なときは必要だが、それは別途「疑惑追及委員会」を設けたらよいだろう。

安倍元首相も「誹謗中傷、酷すぎる」

私の問題提起に対し、与党からも反応があった。

自民・平将明衆院議員は「国会として重く受けとめるべきだ」とのコメントを出した。とてもありがたいことだ。国会での前向きな議論を大いに期待したい。

そして安倍晋三・元総理もコメントを出していたので少々驚いた。「毎日新聞の捏造的大誤報に始まる原英史さんに対する誹謗中傷。酷すぎる」という。これも本当にありがたい。

私が公聴会でお願いした3点のうち「政府の毅然とした対応」は、当時の政府の総理大臣がこうして明確な見解を示されたことで、一部実現したといってもよい。

あとは、「国会の対応(免責特権と国会議事録の扱いに係る議論)」と「政党の責任ある対応(野党合同ヒアリングでの誤った追及への事後対応)」が残されている。早く実現することを願っている。