3月19日、トヨタ自動車はENEOS スーパー耐久シリーズ2022 Powered by Hankook第1戦『SUZUKA 5時間耐久レース』の会場内で記者会見を開き、ST-Qクラスに蒲生尚弥/豊田大輔/大嶋和也/鵜飼龍太の4人で参戦するORC ROOKIE GR86 CNF Conceptについての詳細を発表した。
スーパー耐久では2021年第3戦富士以降、毎戦行われている記者会見。この日はトヨタ自動車豊田章男社長、スバル中村知美社長、マツダ丸本明社長兼CEO、また、山梨県の長崎幸太郎知事も訪れた。冒頭、豊田社長は「東北・関東地区の地震で被災された皆さまに心からお見舞い申し上げます。一日も早い復旧を迎えられるよう、我々メーカーも全力を尽くしてまいります。また先日、長年日本のモータースポーツを支えてこられた、高橋国光さんが亡くなられました。これまでの数々の功績に対しまして、ひとりのモータースポーツファンとして、心より御冥福をお祈り申し上げます」と会見をスタートさせた。
この会見のなかで触れられたのが、ST-Qクラスに参戦するORC ROOKIE GR86 CNF Concept。2021年からTOYOTA GAZOO RacingとROOKIE Racingはスーパー耐久を舞台に、モータースポーツの現場でアジャイルに鍛え課題を解決し、『モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり』を進め、カーボンニュートラルへ取り組んでいる。2021年は水素エンジンを搭載したORC ROOKIE Corolla H2 Conceptを投入し大きな話題となったが、さらに2022年からは同じST-Qクラスに、ORC ROOKIE GR86 CNF Conceptを投入する。
このORC ROOKIE GR86 CNF Conceptについては、これまで詳細が明かされてはこなかったが、内燃機関を活用した燃料の選択肢を広げる挑戦として、カーボンニュートラル燃料を使用することになり、スバルBRZを使用するTeam SDA Engineering BRZ CNF Conceptと競い合うことになる。
カーボンニュートラル燃料は燃焼時には二酸化炭素を排出するが、燃料自体に大気中に存在する二酸化炭素を使用しているため、排出量はプラスマイナスゼロとなること、また既存のインフラや車両技術を活用できることから、カーボンニュートラル実現のための手段のひとつとして注目されているという。
ご存じのとおり、BRZとGR86は兄弟車ではあるが、このORC ROOKIE GR86 CNF Conceptは、新たにトヨタ製の1.4リッターターボエンジンを搭載するという。エンジンはGRヤリス、水素エンジンカローラのものをベースとしており、「手の内にある技術を活用」して開発が進められていく。BRZと競い合いながらモータースポーツの現場で鍛えることで課題を発見、改善し、将来的な実用化の可能性を探っていき、レースを通じて得られた知見をGR86、BRZの進化に活かしていくとしている。
またスーパー耐久では、2021年から参戦しているORC ROOKIE Corolla H2 Concept、ORC ROOKIE GR86 CNF Conceptに加え、第2戦富士から参戦するトムススピリットのGR86がST-4クラスに参戦する。より市販車に近い車両をレースで鍛え、その学びを市販モデルやパーツの開発に活かし、『モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり』を進めていく。