EUの証券や銀行、保険などの規制当局は17日、共同声明を発表し、「仮想通貨を購入した消費者は投資したすべての資産を失う可能性がある」とした。英ロイターが伝えた。
規制当局は、仮想通貨のリスクを十分に認識せず仮想通貨を購入する消費者が増えていることに懸念を示しているとしたうえで、次のような警鐘を鳴らしている。
SNSやインフルエンサーを介した広告など、誤解を招くような広告のリスクに注意する必要がある。高収益が約束されたもの、出来すぎた話には特に注意しなければならない。
マイニングにも警告
仮想通貨のマイニングには高度な処理能力を持つコンピューターが必要で、マイニング作業に伴うエネルギー消費量も膨大だ。マイニングとは、仮想通貨の第三者による取引の承認および確認作業で、この確認作業を経ないと仮想通貨として流通できない。マイニングした人にはマイニング報酬が支払われ、世界中のマイナー(マイニングする人)が競うように参加している。
この点についても、規制当局は「(膨大なエネルギー量が必要なマイニング作業が)環境に与える影響を考えていく必要がある」と述べている。
昨年は警告の8カ月後に史上最高値
このニュースに英語圏のツイッターユーザーは次のような反応を示している。
ロイターはいつからゴシップマガジンになったんだ。
EU当局が規制しろということは、私に買えと言っているということだな。
クリックする価値もない。
またロイターがたわごとを言っている。
この記事でより多くの暗号資産を買うことに決めた。
規制当局がこういうことを言うときは、買えというサインだ。仕方がないからまたビットコインを買おう。
ロイターの記事に反応を示したユーザーの多くは仮想通貨の投資家と見られ、欧米のツイッターユーザーの一般的な意見とは言えないが、大半がロイターの記事やEU規制当局の動きを信じていない様子だ。それどころか、この記事をきっかけに値上がりするはずだから今が買い時といったユーザーも散見できた。
実際に、EU規制当局が昨年3月に今回と同じようなビットコインの投資リスクを警告しているが、その約8カ月後の昨年11月に史上最高値を更新した。今回のEU規制当局の警告を受けて、仮想通貨をさらに買い増ししようとする投資家は、この時の再現になると思っているのだろう。
ただ、中にはロシアへの経済制裁措置の一環として、今回は本当に仮想通貨が規制されるのではないかという意見のユーザーも少なからずいた。ロシアの富裕層の一部が、経済制裁を回避するために、仮想通貨を使っていると複数のメディアが伝えている。世界情勢が激変した中、昨年と同様の結果となるか、それとも、大幅な規制強化が図られるのか。