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 グッドイヤーの耐久プログラムマネージャーは、同ブランドがWEC世界耐久選手権LMP2のポートフォリオで、過渡的なウェットコンディションに備えるインターミディエイトタイヤを「残す必要はなかった」と述べている。

 WECのLMP2クラスとELMSヨーロピアン・ル・マン・シリーズにおける単独タイヤサプライヤーであるグッドイヤーは、今季からインターミディエイトタイヤを廃止し、“ミディアム・プラス”のスリックコンパウンドとフルウエット・トレッドタイヤのみを供給している。

 担当マネージャーのマイク・マクレガーがSportscar365に語ったところによると、グッドイヤーは世界中でインターミディエイトタイヤを持ち続ける必要はないと考えており、ウエットタイヤがその穴を埋めることができるという。

 グッドイヤーは、WECの主催者であるACOフランス西部自動車クラブやFIA国際自動車連盟と連絡を取りながら、インターミディエイトを廃止するという案をチームに提示し投票にかけた。2022年シーズンに先駆けて行われたこの投票により、グッドイヤーの案は可決されている。

「ミシュランとオープンな競争をしていたときに、私たちが最初に持ってきたのがインターミディエイトタイヤだった」とマクレガーは説明した。

「オープンコンペティションに参加しているときは、すべてのギャップを埋める必要がある。以前はこの範囲に3つのコンパウンドがあった。インター、ウエット、スリックだ」

「一方、いま私たちはモノブランド(単独サプライヤー)になった。それからウエットタイヤのウインドウを改善し、それがドライ路面でも性能をうまく発揮できるように多くの作業を行ったんだ」

「昨年のル・マンを見てみると、レース開始時のモンスーン後のコンディションからスリックタイヤを履けるようになるまで、ウエットタイヤはそれを使ったチームにとって実にうまく機能した」

「インターミディエイトを履いていたチームのなかには、ピットインしてウエットに履き替えたチームもあった」

「確かに、ウエット路面でどれだけプッシュできるかについては、メンタリティやロジックを変える必要があるかもしれないが、彼らは基本的に隣のクルマと競争しているだけだ。それは、そのレベルの理解と彼らがどれだけプッシュできるかということに落ち着く」

「つまり、実のところは(インターミディエイトタイヤが)必要なかったということだ。ましてや我々は皆、持続可能性と私たちがどのように前進するかについて話し合っている。そうした中で400本ものタイヤを空輸するなんてのはクレイジーなことだ」

「私たちは提案した。ACOを技術グループやFIAとも話し合った。そして彼らは、もっとも公正な方法はチームに決定を委ねることだと言ったんだ」

「そこで私はすべてのチームに連絡したんだ。すると彼らは、私たちの考えを承諾し『それで行こう』との返答をくれた」

■エンジニアに質問すると「全員がノーと言う」

グッドイヤーのインターミディエイトタイヤ
グッドイヤーのインターミディエイトタイヤ

 インターミディエイトタイヤの廃止に反対するチームはなかったのか、と尋ねられたマクレガーは次のように答えた。

「その理由や観点については、さまざまな疑問があったと思う。しかし最終的には全員がその理由を理解し、そこには選択肢があると考えたのだと思う」

「ただし、エンジニアに直接質問すると全員がノーと言うだろう。彼らは皆、より多くの選択肢を望み、より多くの決定を下せることを求めているからだ。彼らにしてみれば引き続き3種類のコンパウンドがあればいいと思っているだろう」

「彼らにとっては考えなければならない変数がひとつ減ることになる。問題はその次に、誰が適切なタイミングで最適な選択をするかということだ」

■「ウエットタイヤで充分に走ることができる」とアレックス・ブランドル

 LMP2ドライバーのアレックス・ブランドルは、インターミディエイトタイヤの廃止が今年のある時点でチームに頭痛を与える可能性があると信じているが、彼はこの動きを安全性への妥協とはみなしていない。

 ウエットコンディションになった場合、ウエットタイヤからシーズン中のCスペックである硬めのスリックタイヤに交換するタイミングは、すべてのチームにって重要になる。

「彼らがタイヤオプションをスリム化しようとしていることはわかる」とブランドルは先週末のWECプロローグテストに先立ってSportscar365に語った。

「去年のル・マンの序盤にインターミディエイトを使うことができた時があった。しかし、実際にはスタート時点でウエットタイヤを履き、(路面が乾いてきたら)スリックに履き替えることで僕たちは実際に大きな利益を得た」

「今年のある時点で、インタータイヤを履けていればと思う瞬間はあると思うが、おそらくは1度きりだろう。それは誰にとっても同じだ。ウエットタイヤはよくできており、路面が乾いた状態でも充分に走ることができる」

「僕たちにとっての主なドラマは、ハイパーカーとの階層化のために彼らが我々に与えたコンパウンドが非常に硬いものであることだと思う。それがもっと柔らかいコンパウンドであれば、ウエットからスリックへの切り替えはもっと簡単になるだろうけど、そうはならなかった」

「インターミディエイトの廃止は危険な動きだろうか? いいや、違う」

「それは1年の内のある時点で頭を悩ますことがあるだろうか? おそらくね」

「しかし、1年に1度だけ使うかもしれないタイヤを世界中に運ぶことを想像すれば、タイヤメーカーが『本当にチームごとのインターミディエイトタイヤを世界中に運ぶために、貨物スペースと人手を使わなければならないのか』と尋ねてくるのも理解できる。だから僕は納得した」