3月19〜20日に三重県の鈴鹿サーキットで開幕するENEOS スーパー耐久シリーズ2022 Powered by Hankook第1戦『SUZUKA 5時間耐久レース』。今季もさまざまな注目の車両がデビューする開幕戦だが、D’station RacingがST-1クラスに投入するアストンマーティン・バンテージAMR GT8Rもそのうちの一台だ。いったいどんな車両なのだろうか。
長年スーパー耐久に参戦を続けるD’station Racingは、2021年はST-Xクラスにアストンマーティン・バンテージAMR GT3を、ST-ZクラスにバンテージAMR GT4を投入。ST-Xではチャンピオンを獲得し、ST-Zでは星野辰也/織戸学/篠原拓朗/浜健二組がランキング2位となった。
迎える2022年、チームはST-Xの体制はそのままに、ST-Zに参戦していたD’station Vantage GT4を切り替え、ST-1にバンテージAMR GT8Rを投入。星野/織戸/浜のトリオで参戦することになった。
このバンテージAMR GT8Rは、アストンマーティン・レーシング(AMR)がニュルブルクリンク向けに開発した車両で、実はAMRがニュルにテスト参戦させた車両、このスーパー耐久に登場した車両の2台しかないという非常にレアなマシン。ただGT4からの換装でGT8Rとなり、逆にGT4に戻すこともできるという。
ベースがGT4であるため一見すると違いは分からないが、昨年のバンテージAMR GT4と比較すると違いは歴然だ。外見では、リップスポイラーが大型化。カナードの形状も異なる。また、ドアはバンテージAMR GT3と同じものが採用され大幅に軽量化されたほか、サイドミラーもGT3と同じ形状になっている。またリヤウイングもGT3よりやや小ぶりなものだが、GT4と比べるとかなり大きい。リヤハッチもカーボン/アクリル化されている。また、内面でもダンパーが変更され、GT3と同じ5ウェイとなっている。
これらの変更により大幅な軽量化、さらにダウンフォース増が図られており、ドライバーたちも「すごく軽い」と軽快なハンドリングを感じているという。ポテンシャルとしては「GT3.5くらい」というマシンだ。
ただ、ST-1クラスは『ST-2〜ST-5以外の車両』というクラスで、KTMクロスボウGT-XやトヨタGRスープラとともに走ることになる。性能調整でパワーが大幅に抑えられており、その点では本来GT8Rがもつパフォーマンスは楽しむことはできなさそう。
とはいえ、D’station Racingのグリーンの美しいカラーリングと相まって、その走行シーンは非常にクール。2022年のスーパー耐久の注目車種の一台で、ぜひ現地でご覧いただきたいマシンだ。