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週刊文春がこのところ報じている、NTTの賃下げ問題が各界に衝撃を与える中、文春オンラインが16日、さらなるスクープ記事を配信した。

記事のタイトルは、「社員32万人のNTT グループ各社にも“賃下げ”を提案」。文春によれば、NTTは子会社のNTTドコモに大幅賃下げを提案したことに続いて、NTT東日本などグループ各社にも賃下げを提案しているという。

東京・大手町のNTT本社(写真:西村尚己/アフロ)

「日本のサラリーマンどんどん貧乏に…」

記事では、NTT東日本に勤務する30代男性の話として、1万6200円の「外勤手当」や昼食費用の「サポート手当」3500円が廃止になると伝えている。さらに、これまで賃貸住居に入居する45歳までの社員には年額44万4000円が支給されていた住宅補助の支給定年が35歳に引き下げられると男性は語っている。加えて、新たな賃金体系が導入され、この男性の場合、月に1万円から3万円下がる計算になるという。

この記事を受けてネットでは、日本の行く末を心配する書き込みが目立った。

大企業サラリーマンすら明日をも知れぬのが日本。

NTTが賃下げするなら、日本に優秀なITの人材はこなくなること間違いなし

NTTすら賃下げ…。岸田のせいで日本がさらにどんどん貧しくなって行く。給与は下がり税金は上がり

日本のサラリーマンどんどん貧乏になっていく。団塊ジュニアの世代は若い頃低賃金で、回収時期の中年で賃金カットにあう

そもそも、NTTはグループ会社の賃下げまで行わなければならないほど、売り上げが低迷しているのだろうか。時価総額ランキングで日本4位の超大企業であるNTTの経営が傾けば、影響を受ける人は何十万人、何百万人になってしまうのか……。と思いきや、心配する必要はないようだ。

本業は絶好調なのになぜ賃下げ?

NTT澤田社長(同社サイトより)

NTTは今月7日、2021年度第3四半期の決算説明会を実施した。営業収益は8兆9,232億円(前年同期比+1,852億円)、営業利益は1兆5,397億円(同+373億円)、当期利益は1兆303億円(同+1,992億円)と発表された。同社の澤田純社長は、「対前年比で増収増益でした。営業収益、営業利益、当期利益、いずれも過去最高です」と話している。また、当期利益は民営化された1985年以来初めて、1兆円を超えたという。

NTTは低迷どころか、過去に例をみないほどの絶好調ぶりだ。それではなぜ賃金体系の見直し、ありていに言えば“賃下げ”を行うのだろうか。2018年に社長に就任した際、澤田社長は能力に応じて高水準の給与を支給する新制度を導入する意向を表明している。研究職や技術者の職員を対象としたもので、世界各国で繰り広げられている熾烈なIT技術者の獲得競争に打ち勝っていくことが狙いと説明している。

日本を代表する大企業だけに、NTTの賃下げは衝撃を持って伝えられているが、早い段階から“予告”されていたことではある。今回、その割を食う形となったのが、研究者、技術者以外の30万人以上いる一般職員というわけだ。

NTTの筆頭株主は国(財務大臣名義)で、発行株式の35.59%を保有している(2021年12月31日時点)。国のトップである岸田首相は就任以来、再三再四に渡って、企業に賃金アップを要請している。本当に各企業に賃上げをしてほしいのであれば、岸田首相は経団連などに賃上げ要請をする前に、大株主としてまずはNTTに直接言ってみてはどうだろうか。