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日銀は17日、2021年第4四半期の資金循環(速報)を発表した。それによると、家計が保有する、現金・預金、株式などを合わせた金融資産の残高は、昨年末時点で2023兆円だった。比較が可能な2005年以来、最高額で2000兆円を超えたのは初めて。

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家計が保有する金融資産の残高は、2017年から2020年第1四半期までは1,800兆円台で推移していた。新型コロナウイルスの感染拡大の影響が本格化しだした2020年第2四半期から右肩上がりに増えていた。2020年第1四半期から2021年第4半期までのわずか、1年半の間に、200兆円ほど増えたことになる。

共同通信の報道では、コロナ禍による外出控えなどにより支出が抑えられたことや、株価の上昇を要因として挙げている。

貯金ゼロ世帯は20代で43.2%

ただ、預金が増えたと実感している現役世代は少ないのではないだろうか。SNSでも、「嘘だろ⁉」「うちはなかなか貯まらない」「金持ちが握りしめているだけだろ」といった声が多数を占めている。

それもそのはずで、一般的な収入の現役世代の預貯金は増えていないどころか、金融資産を持っていない、いわゆる「貯金ゼロ世帯」は相当数に上ることが分かっている。金融広報中央委員会の調査によると、一人暮らしの「貯金ゼロ世帯」は、20代が43.2%、30代で31.1%、40代は35.5%もいる。2人以上世帯の貯蓄額の中央値は、20代が71万円、30代が240万円、40代が365万円だった。

日銀が17日に発表した家計が保有する金融資産は、2023兆円だ。現在の日本の人口、1億2534万人で割れば、1人あたり1600万円の金融資産を持っている計算になる。ところが、現役世代の多くはお金を持っていなく、生活保護世帯は2000年以降右肩上がりに増えており、160万世帯以上に上る。

日本でも進む二極化

こうしたデータを突き合わせて考えると、日本でもアメリカのような二極化が進みつつあると言える。アメリカは世界最大の経済大国である一方で、OECDの調査によると、相対的貧困率は17.8に上り、世界4位。アメリカより相対的貧困率が高い国は、南アフリカ、コスタリカ、ブラジルだ。

日本もアメリカのように、持っている人は株式投資などでその資産をさらに増やし、持たない人はより貧困になっていくという社会になりかけている。実際に、日銀が発表した内訳によると、現金・預金が3.3%増の1092兆円に対して、株式は15.5%増の212兆円、投資信託が20.4%増の94兆円だった。現金や預金の伸び率と比較すると、株式や投資信託が大きく伸びていることが分かる。

つまり、一見すると日本人が金持ちになっているような錯覚を起こすが、そうではなく、資金力や能力のある一部の投資家の資産が、昨年までの株高で増えていただけと言えるのではないだろうか。

増税の無間地獄への入口?(画像:bgkovak /iStock 官邸サイト)

「これで増税するんだろうな」の声

そうした中、庶民にとって心配になるのが、このデータを根拠に「まだまだ、国民は余裕がある」と政府が増税をしてくることだ。特に、岸田政権になってからは、「隙あらば増税」のイメージが強まっている。

SNSでも、この報道を受けて、「これで増税するんだろうな」といった、増税を心配する声が既に上がっている。自民党と公明党が要望を出した年金受給者への5000円の給付が実現すれば、家計資産はさらに積みあがる。杞憂に終わればいいが……。