毎日新聞記事と係争中にも関わらず、記事をソースに一方的な断定による名誉毀損や、ネット上に住所を晒すプライバシー侵害の被害を受けたとして、国家戦略特区ワーキンググループ(WG)の原英史座長代理が、立憲民主党の森ゆうこ(裕子)参議院議員に対し、慰謝料など385万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が18日、東京地裁であった。
伊藤繁裁判長は、原氏の訴えを認め、森氏に対し、34万円の支払いを命じた。
この訴訟の発端は、原氏は2019年6月、毎日新聞に特区申請事業者から不正なお金を得たかのような印象を与えかねない記事を書かれたことで、事実無根を訴える原氏が毎日を訴える裁判沙汰になっていたところ=一審は原氏敗訴、控訴中=、森氏が国会質問やネット上の発信で「特区の議論の公正性を疑わせるような大変な事態」などと“追及”して勃発したバトル。
国会議員の院内での発言内容は、憲法51条により免責特権を保障されているため、民間人の原氏は森氏の法的な責任を問えないが、森氏は同年10月のフェイスブックで、毎日新聞の当該紙面をほぼアップしたことで、原氏サイドは、係争中の毎日記事を掲載したことで名誉毀損に当たると主張。
さらに同年11月には、ツイッターで、国会質問時の資料として、原氏が代表理事を務めていた一般社団法人の登記簿を公開。法人の代表理事としての原氏の住所を含めた個人情報をそのままネット上にさらしたことで、プライバシーを侵害した点でも訴えていた。
判決では、これらの名誉毀損やプライバシー侵害を認定。前者について判決は「全国紙の報道であっても、真実と信じる相当の理由があるとは言えないとの考えを示した」(時事通信)。
原氏は判決後、SNSで「無事勝訴できました」と報告し、支援者へのお礼を述べた。一方で、森氏が参議院の審議で「(原さんが)国家公務員だったら、あっせん利得収賄で刑罰を受けるんですよ」などと述べるなどした「国会における誹謗中傷」については残る大問題として改めて提起。「こちらが本丸の誹謗中傷であるにもかかわらず、憲法上の免責特権に守られ、訴訟では争えない」と悔しさを滲ませていた。