ポルシェGTチームから2022年のWEC世界耐久選手権のLMGTEプロクラスにフル参戦するミカエル・クリステンセンは、ポルシェのファクトリードライバーへの復帰とレギュラーシート獲得について「本当に感謝している」と語っている。
今季、ケビン・エストーレとともに92号車ポルシェ911 RSR-19をドライブするクリステンセンは2021年シーズン、ニール・ジャニに92号車のフルタイム・ドライバーの座を奪われる形となっていた。
2021年、彼はポルシェのファクトリー・ドライバーの名簿からも漏れていた。だが、ポルシェとの関係をなんとか維持したクリステンセンはポルティマオ8時間、ル・マン24時間、バーレーン8時間で、第3ドライバーとしてそのラインアップに加わっていた。
チームは今季、ジャニをラインアップから外してエストーレ/クリステンセンという以前のコンビに戻すことを選択。同時にポルシェは、再びクリステンセンをファクトリー・ドライバーに迎え入れている。
「これは素晴らしいことだ」とSportscar365に対し語ったクリステンセンは、昨年ファクトリーラインアップから外された際には、自分の将来について確信が持てなかったことを認めている。
「戻ってくることができて、本当に感謝している。これは、通常辿るべき結末ではない。普通なら、一度ラインアップから外されたら、外されたままだ」
「去年は、なんとか(ポルシェと)関わり続けることができて良かった。もちろん(ファクトリードライバーへの)復帰を目指してはいたけど、どうなるか確信は持てなかった」
「ようやく戻ってくることができて嬉しい。もちろん、素晴らしい結果を挙げ、いくつかのレースに勝つべく、集中して挑んでいきたい」
昨年のル・マンでクリステンセンは、エストーレとジャニとともに、GTEプロクラスの表彰台を獲得している。
また、最終戦のバーレーン8時間レースの最終スティントでは、AFコルセのフェラーリと印象的なバトルを展開し、残り12分でアレッサンドロ・ピエール・グイディから追突されるまでは、フェラーリを抑え込んでいた。
クリステンセンのバーレーンでのパフォーマンスは高く評価されているが、それが今年の復帰に際しての決定的な要因であるかどうかは定かではない、とクリステンセンは述べており、バーレーンの最終戦よりも前に、潜在的な交渉がすでに合意されていたことを示唆している。
「トラック上でのすべての振る舞いが、そのドライバーの将来に影響を与えると思う」とクリステンセン。
「だけどチャンスがあるかどうかを確認したかったので、僕らはそれ以前に話し合っていたし、(2022年の契約を)同意していた。そして最終的に、昨年からプログラムを拡張する(フル参戦する)ことになった」
「バーレーンの最終スティントの影響はあったかもしれない。でも正直なところ、通常の92号車のクルー編成へと戻ることができる状況に、僕ら皆は目を向けていたと思う」
こうしてクリステンセンは、2018年のル・マンでのクラス優勝、そして2018/19“スーパーシーズン”のワールドタイトルを再現すべく、ふたたびエストーレとタッグを組んだ。
エストーレもまた、クリステンセンの復帰を喜んでいる。
「本当に嬉しいよ。昨年はニールと本当に良い年を過ごしたけどね」とエストーレ。
「だけど、ミカエルとの関係はかなり特別なものだ。彼はとても良い友達でもあるので、他のドライバーとは明らかに違う。彼とのコンビが復活できてとても嬉しい」
「僕らはともによく機能できていると思うし、それが僕らを組ませることが合理的である理由だとも思う」
クリステンセンとエストーレは。、近年もっとも成功したWECドライバーコンビとも言える。2017年にコンビを組んで以来、GTEプロクラスで4度の勝利を収め、14回の表彰台を獲得している。
ふたりの組み合わせがなぜうまく機能するのかと尋ねられたクリステンセンは、複数の要因を挙げた。
「第一に、僕らはお互いをとても尊敬している」とクリステンセン。
「第二として僕らはどちらも優れたドライバーだと思うが、それぞれに個人的な強みを持っている。ケビンはとてもアグレッシブだ。その点では、僕は少し及ばない」
「僕がしていることから彼が学ぶこともできるし、その逆もある。また、互いに助け合うことを躊躇しない。だから、エンジニアとともに同じ方向を向いて進んでいくだけではなく、お互いをコーチングすることもある」
「これは僕と彼の関係性だけではなく、僕らのエンジニアについてもそうだ。僕らはトラック内でも、トラック外でも、とても緊密に連携している。僕らは本当に強いチームなんだ」
エストーレは、ふたりの考え方は非常によく似ている、と付け加える。
「僕らは多くのことについて、同じ考え方を持っている」とエストーレは語った。
「僕らの性格は間違いなく異なっているけど、勝つために必要なものに関しては、同じ考え方を持っているんだ。これが、僕らを強くしている理由だと思う」
「さらに、僕らはドライビングスタイルが一緒だし、身体のサイズも同じなので、マシンについての妥協が少なくなるんだ」