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ツイッター上で15日、「中国人男性」が一時トレンド入りした。「“ウクライナ人の花嫁”を欲しがる中国人男性が武力侵攻後に急増した理由」(クーリエ・ジャポン)との記事が注目されたためで、多くのユーザーがこうした中国人男性に嫌悪感を示した。

Olga Balynska /iStock

武力から逃げざる得なかった人を。。。
コロナ禍初めの岡村の発言と同じ類い。

これじゃあウクライナにいる中国人に憎悪の矛先が向くわけだわ。一方で中国人男性は「若いウクライナ女性来れ!」とSNSで垂れ流し…。

不適切な書き込み削除相次ぐ

ロシアのウクライナ侵攻直後に、中国のSNS「微博(ウェイボー)」上で「ウクライナ美女の中国訪問を歓迎します!」などの書き込みがあったのは事実。とはいえ、こうした書き込みは不適切との声が中国国内でもあがり、運営サイトはすでに投稿のほとんどを削除している。中国メディアによると、削除された不適切な書き込みとして、たとえば以下のものが挙げられている。

ウクライナで戦争が起きた。かの国の男たちは多大な犠牲を強いられることになるだろう。そうすれば、女性たちが余ることになる。俺もやっと独身状態から抜けられるかもしれない。

俺としては、ウクライナの美女たちが無事に中国に辿り着けるかどうかだけが気がかりだ。

中国では一人っ子政策による男女比の不均衡が社会問題となっており、統計の数値上では3000万人もの中国人男性が「結婚できない」との説もある。「中国新聞網」によると、SNS運営サイトはこうした書き込みに対して

こうした俗悪かつ対立を煽るような非友好的な投稿に対し、断固たる措置を取ります。

などの声明を発表。542本の投稿を削除処理し、74のアカウントを30日間凍結するとした。

中国らしいブラックジョーク?

クーリエ・ジャポンの記事は米メディア「VICE」をもとに構成されているが、VICE記事によると、中国人男性とロシアや東欧の女性を仲介するマッチングサービス「Meilishka(メイリシカ、中国語名は美麗施卡)」には、「従来は1日5人程度だった問い合わせ件数が、侵攻後は10人まで急増した」という。

結婚仲介サイト「Meilishka」トップページ

メイリシカは2017年にサービスを開始し、現在登録している中国人男性は約70人。これまでに、8〜9組のカップルが成婚に結びついたという。

問い合わせが急増といっても5人→10人では誤差の範囲のような気もするが、ウクライナやロシアに関するニュースが世界的に激増するなかで、婚活ビジネスの現場でも変化があったのかもしれない。とはいえ、14億人のなかで数人増えた程度のニッチな世界の話であり、社会現象かのように捉えるのは早計と言えそうだ。

侵攻当初から、中国はロシアに対してどちらかと言うと宥和的な態度を取っており、中国のネット世論もロシアへの支持や共感を示すものが多数派を占めた。「ウクライナの美女歓迎」といった投稿は、もともと2014年のウクライナ騒乱の際にもあったという。

中国では「ウクライナ=アメリカの傀儡政権」と見られる傾向もあるため、“敵国であっても美女は歓迎だ”と投稿するのは、中国らしいブラックジョークだったとも言えそうだ。たとえば、尖閣問題で日本と中国が対立した際に「釣魚島は中国のもの。蒼井そらは世界のもの」というジョークフレーズを流行したが、それと同じ感覚だったのではないだろうか。

ロシア・欧米・中国とそれぞれの世界が分断されるなかで、ブラックジョークの許容範囲もそれぞれ異なると言えそうだ。