首都高の料金改定が行なわれ、2022年4月1日に新料金への移行が予定されている。
首都高速道路は「都心部通過に際し周辺の路線よりも首都高速道路が割安な場合などがあり(中略)、通過交通をこれまで以上に抑制する必要がある」とし、渋滞緩和を名目に現在設定されている上限料金の値上げを行なう。
世界情勢悪化の影響で原油先物価格はかつてない急上昇を見せ、ガソリン・軽油小売価格の高騰が続くなかでの今回の値上げ。
運送業にとって、ますます輸送コストが逼迫することになりそうだが、あらためて今回の新料金及び、それにともなう変更点をまとめた。
文・写真/フルロード編集部
4月1日に改定される首都高新料金のあらまし
首都高でETC車の距離別料金制度が採用されて久しいが、現在の走行距離35.7km超に設定される上限料金は普通車で1320円、中型車で1410円、大型車で2080円、特大車で2650円。
新料金では普通車1950円(+630円)、中型車2310円(+900円)、大型車3110円(+1030円)、特大車5080円(+2430円)となり、大幅な値上げが予定されている。
走行距離35.7km以内の利用においては、中型・特大車を除き現行距離別料金からの変更はなく、これまで通り0.1km毎の走行距離に応じて、10円単位で加算される。
なお中型・特大車の走行距離35.7km以内の距離別料金が変更(値上げ)されるのは、同車種を対象にした「暫定車種間比率」が3月31日をもって終了するため。
暫定車種間比率とは、2016年にそれまでの首都高の2車種(普通車・大型車)区分から「軽・二輪」「普通車」「中型車」「大型車」「特大車」の5車種区分に変更され、中型・特大車の大幅な値上がりを軽減する目的で暫定的に安い料金比率を設定したもの。
また2020年3月に開通した横浜と東名横浜青葉JCTを結ぶ、K7横浜北西線⇔東名ルートを通行する際に、首都高の上限距離(料金)を走行距離35.7km超から50.4kmまで増大する措置も、今回の上限料金の値上げに伴い、3月31日をもって終了する。
同措置が設定されていた背景は、東京隣接県から都内を通過する場合、東名(東京インター)⇔3号渋谷線を経由するよりも、東名(青葉JCT)⇔K7横浜北西線・横浜北線を使ったほうが割安になってしまうため。交通の集中を防ぐ目的で上限距離(料金)の拡大が行なわれていた。
大口・多頻度割引率の拡大と深夜帯割引の適用
いっぽう物流を支えるクルマの負担を軽減する目的で、「大口・多頻度割引」の割引率は現行の最大35%から45%まで拡充される。
その内訳は、車両単位割引の基本割引を最大20%から25%とし、中央環状線(C2)の内側を通行しないぶんの利用料金は最大5%から10%まで拡充される。大口・多頻度割引の契約単位割引においては現行の割引率10%から変更はない。
なお契約単位割引を受けるには、事業者の1カ月の利用額の合計が500万円以上且つ、1台あたり平均3万円以上が条件。中小企業にとってはこの条件を一企業で満たすのはなかなかむずかしいが、事業協同組合で割引を適用することも可能だ。
また、4月1日からは首都高速道路では導入されてこなかったETC車の「深夜割引」が開始される。適用時間帯は、NEXCO3社が管理する深夜割引対象道路と同じ、午前0時~午前4時までの間。割引率はNEXCOの30%よりも低い20%となる。
深夜割は大口割やマイレージ割などと違い登録不要で、条件さえ満たせばだれもが受けられる割引措置だが、トラックの時間調整が社会問題化した過去もある。
NEXCOの深夜割が50%から30%(平成14年4月以降)になってからは減少傾向にはあるが、半額割引があった当時は、時間調整のためPA・SAなどから溢れたトラックが本線上にまで停車している姿はよく見られた光景だ。
今般の深夜割の導入で周辺道路に悪影響が及ばないか懸念材料は残る。
横浜・川崎⇔常磐道区間を走行する際の千葉外環迂回利用割引の導入
また新年度からは首都高の横浜・川崎エリアのIC⇔常磐道ルートにおいて外環(東京外かく環状道路)の高谷JCT⇔三郷JCT間へ迂回した際、首都高料金と同額になる割引制度も始まる。
割引は「首都高の湾岸線または横浜・川崎エリアの出入口を発着」「外環千葉区間のみを迂回して常磐道を利用」「料金所を同一にETC無線通信により通行」の条件をすべて満たした車両に適用される。
横浜・川崎エリアの出入口とは、湾岸線の葛西IC以西、羽田線の空港西IC以南、横羽線、三ツ沢線、狩場線、大黒線、川崎線、横浜北線、横浜北西線の各ICとなる。
なお各接続道路との連続利用もOKとなり、たとえば常磐道→6号三郷線→外環千葉区間→湾岸線→狩場線→保土ヶ谷バイパスといったルートにも同迂回割引が適用される。
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