ロシアのウクライナ侵攻を受け、米国の核兵器を日本に配備して共同運用する核共有論に加え、与野党の改憲勢力内で「憲法に自衛隊を明記すべきだ」との9条改憲論が勢いづいている。有事の際、武力で国民を守る国家の意思を明確にすべきだとの主張だが、現行憲法の解釈でも自国への攻撃を排除する個別的自衛権の行使は可能。専門家は有事に便乗して「力の論理」が増幅しかねないと警鐘を鳴らす。(村上一樹)
論争のきっかけは、改憲に反対する共産党の志位和夫委員長が先月24日につぶやいたツイッター。「仮に(ロシア大統領の)プーチン氏のようなリーダーが選ばれても、他国への侵略ができないようにするための条項が、憲法9条だ」と発信した。もし日本でプーチン氏のような指導者が現れても、9条で日本が侵略国家になることに歯止めがかかるとの論理だ。
これに対し、自民党総裁時代に、9条への自衛隊明記など改憲4項目の党政策をまとめた晋三元首相が反応。今月3日の派閥会合で「空想にとどまって思考停止」と酷評し「問題なのは、武力行使をいとわない国が隣国にある場合、どうなるかだ」と主張した。
日本維新の会代表の松井一郎大阪市長も2日、9条への自衛隊明記に関し「バージョンアップする必要がある」と記者団に明言。「日本が攻められたときには、国民を守るために武力行使すると無法国家に明確に伝えるべきだ」と訴えた。維新の三木圭恵衆院議員も3日の衆院憲法審査会で「今の憲法のまま国民の命を守れるのか。覚悟を持ち、9条を含む改憲の議論を行うことが真に求められている」と強調した。
◆一問一答・「9条の会」田中優子・法政大前総長 ウクライナ侵攻での改憲論に「いつも機会狙っている」「現行憲法は人類の理想」
ウクライナ情勢を受けて自衛隊明記の改憲論が強まっていることに関し、9条の理念を尊重する有識者らのグループ「9条の会」世話人の田中優子・法政大前総長に評価や9条の意義などを聞いた。
―ウクライナ侵攻によって、9条を変えるべきだとの声が強まっている。
「便乗だ。新型コロナウイルス禍では、憲法に緊急事態条項をつくろうとの声が上がった。改憲派はいつも機会を狙っている。便乗というだけでなく、9条を変えて『力の論理』にひた走ろうとすれば(ロシアの)プーチン大統領と同じ思考になってしまうのではないか」
―改憲派は自衛隊を明記すべきだと主張する。
「9条はあのまま堅持していい。自衛隊法もある。憲法で全部判断しているわけではない。現行憲法は特に9条と前文で、日本のみならず世界がどの方向に向かうべきかという人類の理想が入っている。その理想は捨てるべきではない」
―9条の下、日本が反撃できないまま攻められることが起こり得ると懸念を持つ人もいる。
「9条は自衛権を否定していないし、変えなくても自衛できる。万が一、ロシアが日本に攻めてきた場合、自衛隊は自衛する。その時に(9条の理念を逸脱して)ロシアに攻めに行く必要はない。ウクライナ軍もロシアに攻め入っていない。(改憲派は)まるで何もできないかのように言うが、成り立たない議論を改憲の道具に使っている」
―9条堅持のためにやるべきことは。
「いろんなことに便乗し、そのたびに起こる改憲論に対して『私たちは乗らない』と多くの人が言っていく必要がある」
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引用元: ・自衛隊明記など改憲念頭の安倍元首相らに、田中優子前法大総長「9条と前文は世界の向かうべき人類の理想。捨てるべきではない」東京新聞 [powder snow★]
だが現実的ではない。
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