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 【上海:石田亮】中国で2年ぶりに本格的なコロナ禍が到来している。これまでも散発的に各省市・エリアで、ロックダウンなどが行われてきたが、今回は過去をしのぐ勢いで広がっている。「ゼロコロナ」対策を敷く中国では経済活動への懸念が高まりそうだ。

 中国では感染力の強い変異株「オミクロン株」の感染例が日に日に増えている。1日の感染者数は2020年以降では初めて1000人を上回った。

 11日、吉林省の省都である長春市がロックダウンとなった。同市の人口は約900万人で、原則在宅勤務で、買い出しに対しても規制が始まった。

 広東省深圳市でも食料品店などを除き、基本は営業停止、会社はテレワークとなり、事実上のロックダウンとなっている。地下鉄などの公共交通も停止となっているという。

 上海に目を向けると、無症状者含め連日100人以上の陽性者が発見されている。この数カ月は一ケタ、多くても二ケタだったが、3月に入り一気に膨れ上がり、当局側は対応策を強めている。

 陽性者・濃厚接触者が発見されたエリア・出入りした店舗、ビルは即座に閉鎖され、一定期間外出が禁止となる。日系は「陽性よりも、いつ閉鎖されるかわからない恐怖の方が大きい」と話す。実際に弊社社員が住む住居エリアも突然隔離対象となり、2日間の集中隔離+12日間の自主隔離期間に突入した。

 上海市内の日系企業も対応に追われているが、これまでの経験から勤務態勢の移行は各社比較的スムーズだ。早い段階で出社禁止、出勤率を50%以下、交代制への移行を決めた。各オフィスビルでは、慣れた手つきでパソコンを車に積み込む姿が目に映った。

 一方で日系大手の総経理は「引き締め方は流行した2年前より厳しい」という見方を示す。市内に工場がある日系メーカーは当局からの通達で、作業員の出社には2回のPCR検査が必要となった。結果が間に合わず、やむなく1日の操業停止を決めた企業もある

 生活インフラの面でも影響が出ている。一部の区では飲食店の営業が停止。もしくは店内での飲食を禁止し、出前のみに移行している。食料品店では突然の隔離生活に備え、食料を買い込む人々の姿が印象的だった。市内最大規模の病院は院内感染で閉鎖になり、さらにPCR検査自体を停止した病院もある。

 さらに15日には民間航空を管轄している民用航空局から、国際線のハブである浦東空港着の航空便をほかの空港で受け入れる方針を打ち出した。期間は3月21日~5月1日まで。国内航空会社5社の22路線、合計106便を成都、大連、福州、杭州、済南、昆明、南昌、寧波、厦門、太原、長沙、重慶など12の空港に移管する。

 中国は一貫して「ゼロコロナ」対策を続けている。先の全人代でも当面継続の見方を示した。政府としては、コロナ対策が成功した国として、国内外にアピールしたい思惑もあると思われるが、日系企業からは疑問視する声も耳にする。今回の窮地を乗り切れるか。「ゼロコロナ」対策の真価が問われる。

新聞 PDF版 Japan Chemical Daily(JCD)

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