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新型コロナウイルスの影響で、エネルギー需要が大きく落ち込んだことに端を発した原油価格の高騰。原油価格は、昨年まででも異常事態と言えるほどの高値を付けていたが、産油国の一つであるロシアのウクライナへの一方的な軍事侵攻を受けて、ますます高騰している。そんな中、ここ数日、SNSではガソリン価格が1㍑200円を超えたという報告が相次いでいる。

alexkich /iStock

「ガソリンがハイオクで200円の大台を突破していたので絶対高速で給油は避けようと思う。

高速のガソリンは200円/リットル

高速道路のサービスエリアですが、ガソリン価格は200円でした。

高速道路のガソリンスタンドとは言え、ガソリン200円/ℓの表示を初めて見たw

SNSユーザーも指摘するように、高速道路のガソリンスタンドのガソリン価格は、一般道にあるガソリンスタンドより割高だ。高速道路のガソリンスタンドは、高速道路を利用する人が燃焼不足に陥らないように、年中無休で24時間営業が基本で、人件費がほかのガソリンスタンドより高くなることがその理由。一般道のガソリンスタンドと比べると、1㍑あたり10円から20円ほど高いのが相場だ。

とはいえ、ロシアの軍事侵攻がいつ終わるかも見えず、さらに、戦争が終結したとしてもすぐに戦争前の秩序に戻るかどうかが不透明な中、原油価格が低下する材料は短期的には見渡せない。となると、一般道のガソリン価格も、高速道路のガソリンスタンドのようにいずれ200円を突破してしまうのではと誰しも不安に思うだろう。

史上最安値時代と様変わりな財布事情

ちなみに、1990年以降のガソリンの全国平均価格を示した石油情報センターのデータによると、ガソリン価格の史上最安値は、1999年6月7日に記録した1㍑あたり91円だった。それから22年近く経過した最新の調査日である今年3月7日時点の全国平均価格は174.6だ。コロナ禍が始まる前の2020年1月と比較しても、1リットルあたり20円ほど値上がりしている。

これが、物価上昇の局面でも個人所得も上がっている、いわゆる「良いインフレ」であれば問題も少ないのだろうが、実態は全く異なる。国税庁の「民間給与実態統計調査結果」によると、1999年の日本の会社員の平均年収は461万円だった。平均年収は年を追うごとに低くなり、2020年は433万円だった。

加えて、1999年には35.4%だった、国民の所得に占める税金や社会保険料の割合である「国民負担率」は、2020年は46.1%にまで上っている。つまり、給与が減り、さらに税金や社会保険料の負担だけは増大する中、ガソリン価格も急騰しているというわけだ。

こうした中で、国民の多くが求めているのが「トリガー条項」の凍結解除だ。トリガー条項は、ガソリン価格が想定以上に高騰した際に、ガソリン税などを引き下げる条項だ。凍結解除をすれば、それだけで1㍑あたり25.1円のガソリン価格が引き下がる。

政府は、レギュラーガソリン1㍑の価格が、3か月連続で160円を超えた際にトリガー条項の凍結を解除するとしているが、前出の石油情報センターのデータによれば、ガソリン価格が1㍑あたり160円を超えたのは、22カ月連続だ。政府はいつ、トリガー条項の凍結解除をするのだろうか。岸田首相お得意の「検討中」といったところか。