欧州日産は2月23日、リーフのマイナーチェンジモデルを発表した。となれば、日本で販売されているリーフもマイナーチェンジされる可能性は高い。そして2022年春に発売予定の新型軽EVサクラの動向も気になる。
今回は、マイナーチェンジ版リーフと、新型サクラについて、今わかっている情報すべてをお伝えしていこう。
文/遠藤 徹
写真/日産、ベストカーweb編集部
■欧州日産がマイナーチェンジしたリーフを日本でも発売
日産は5月下旬にも主軸電気自動車「リーフ」をマイナーチェンジし、2022年6月下旬に発売する見通しである。また4月下旬には新型軽EV「サクラ」を発表、5月中旬に発売する予定となっている。
リーフは欧州日産が2月23日にマイナーチェンジした2022年モデルを発表しており、マイナーチェンジする予定の日本仕様もほぼ同じ内容で仕立てるものと思われる。
国内の日産販売店に3月上旬までに伝えられている情報は以下の通り。
「今回のマイナーチェンジではフロントグリルのデザインやロゴの変更、ヘッドライトの形状はシャープになり、アルミホイールは新デザインを採用する。ボディカラーはモノトーンを中心に新色を追加するなどで再編する。
パワーユニットなどのメカニズムの変更は基本的には行わない」となっている。これらによって約10万円の値上げとなる見込みである。見積書の作成が可能になるのは5月のゴールデンウイーク明けになる見通しである。
従来モデルはすでにオーダーストップし、在庫一掃セールに入っており、好条件で買える状況にある。グレード、オプションパーツ、ボディカラーなどが次第に絞られつつある。
3月いっぱいは決算セールの時期であるから大幅値引きによって格安で買えるのと、通常実質金利が4.9%のところを2.9%の特別低金利の残価設定クレジットを設定しており、最終の増販攻勢をかけているところである。
現行2代目モデルは2017年9月6日に発表、2021年4月19日には一部改良したが、この時点は小幅の改良にとどめていた。今回はフロントマスクやアルミホイールのデザイン変更、カラーリングの再編などで、前回よりも手直しの内容は大幅となる。
登録車のなかでは2022年2月の実績だとノート、セレナ、キックスに次いで4番の販売実績であるから、主軸モデルのひとつに名を連ねているといえる。
2022年1~2月の登録累計は2831台で前年同期に比べて69.9%増と大幅な増加となっている。
決算期に向けて2.5%の低金利残価設定クレジットの設定による買い得感や、カーボンニュートラルの流れの中でEV志向の強まり、下取り車がある場合最高10万円のキャッシュバックキャンペーンなどが後押ししていると思われる。
現行モデルの商品ラインアップはすべて2WDでノーマル仕様のカタログモデルが航続距離570km(WLTCモード)で駆動用バッテリー62kwh3タイプ、322km、40kwh5タイプ、スポーツバージョンのニスモが40kwhのみ2タイプ、オーテックは62kwh、40kwh1タイプずつ、合わせて12グレードの構成となっている。
このうち半分以上の売れ行きなのが40kwh仕様で占められる。航続距離の長い62kwh仕様の方が50万円以上も高く、安い40kwh仕様でも300km程度走れば実用的に十分と考えているユーザーが多いためと思われる。
首都圏の日産店、日産プリンス店では通常のカタログモデルだと、まだ多くの在庫を抱えている店舗が目につく。ただ特別バージョンのニスモやオーテックシリーズはオーダーストップで売り切り、在庫がほとんどないケースが多い。
首都圏にある日産店で現行モデルの売れ筋であるXVセレクション(車両本体価格410万7400円)に有料色のブリリアントホワイトパール、フロアマット、ETC、(ナビは標準装備)、プラスチックバイザー、ナンバープレートロック、ボディコート、ドライブレコーダーなど25万円強のオプション&付属品を付けてひいてももらうと、法定、法定外費用を含めて支払い合計金額460万円弱と出た。
今購入すると下取り者なしで30万円以上の値引きが可能だが、マイナーチェンジ後になると約10万円値上がりした上に15万円程度に引き締まるという。
これを頭金100万円で5年60回払いの残価設定クレジットを組むと、初回支払い金額4万8000円強、2回目以降毎月4万3000円強を支払い、最終支払い金額は94万円強になる。3月いっぱいは2.9%の特別低金利だが、4月以降になると4.9%の通常金利に戻るので、毎月の支払金額は1万円以上の増額になる見込みである。
■話題の軽自動車規格EV 名称は「サクラ」が有力か
一方、軽自動車ベースの電気自動車は、改良型リーフよりも約1ヵ月早く、4月21日に発表、5月13日に発売の予定でスケジュール調整をしている。日産ブランド車のネーミングは「サクラ」が有力である。
こちらはブランニューモデルであるから、3月中旬にも販売店の営業担当者を横浜にある日産本社に招き、商品説明会を実施し、以降発表まで既納ユーザーを中心にプレキャンペーンを実施する見通しである。
価格を決めて先行予約を開始するのは発表と同時になると予想される。具体的な商品内容はまだ明らかになっていないが、概要は提携する三菱自動車との共同開発で、企画開発は両社の合弁会社である「NMKV」が担当する。
ベースモデルは現行のデイズ&eKで、両モデルのパワートレイン以外のプラットフォーム、ボディパネル、足回りなどを活用して電気自動車用にアレンジされる。三菱自動車「i-MiEV」では軽自動車ベースのEVを実用化している経緯があるので、ここで培ったノウハウを生かして三菱主導の開発を進めているはずである。
モーターユニットは20~24kwhで駆動用バッテリーは小容量タイプであり、1充電による航続距離はWLTCモードで200km程度を想定している。ただこちらは車重がリーフより軽いので、バッテリー消耗による航続距離の短縮度合は小さくなりそうだ。
車両本体価格はCEV補助金を含めて200万円前後の設定になる見込みである。三菱ブランド車もほぼ同時の発表、発売になる可能性が強い。
日産の国内向けのパッセンジャー用の電気自動車は改良型リーフ、軽自動車ベースのほか、2021年6月4日に発表した「アリア」がある。こちらはフル装備の特別仕様車「リミテッド」をまずインターネットで発売。
販売店扱いのカタログモデルはモーターB6モデルを2021年11月に発売した。2022年4月には航続距離の長いモーターB9モデルを発売する予定だったが、サプライヤーからの半導体を中心としたパーツ供給の遅れで来年以降に先送りされる見通しとなっている。
インターネット販売分は約7000台の受注があり、好調な販売のスタートを切っている。この4月から本格的な登録にかかる見込みである。
各モデルの月販規模はリーフ1500台、軽自動車EV2000台、アリア2000台程度を想定しており、合計5500台に急拡大する見込み。これによって後続する他社に圧倒的な差でリードし続ける構えである。
ただリーフとアリアでは対照的な人気動向になっていることが伺える。両モデルとも充電後の航続距離の長いバッテリーと短めの両ユニットを設定し、売れ行きはリーフが短め、アリアが逆に長めと2分していることである。長めのユニットは航続距離が長いが50万円以上高く、短めは安い。
アリアは長めのほうが売れゆきは良く、リーフは逆になっている。これは必ずしも航続距離が長いユニットのほうがマーケット評価は高いとは限らないことを示している。
■証言1:首都圏日産店営業担当者
「リーフのマイナーチェンジは現行モデル発売後5年近くが経過するので、比較的大幅な手直しといえます。リーフの増販にとってはチャンスであり、引き合いが目立って多くなっています。
従来モデルはオーダーストップで在庫一掃セールに入っています。この3月の決算セールでは値引きの拡大、2.9%の残価設定クレジット、最高10万円のキャッシュバック、10万円の充電設備サービスなどで盛り上げを図っています。
2030年までには電気自動車の車種を国内だけで5車種以上に増やすと聞いているので、期待しています。車両価格は同クラスのガソリンNA車やハイブリッドに比べると、CEV補助金はリーフでは78万6000円なので、かなり売りやすくなっています」。
【画像ギャラリー】登場は『葉桜』の季節か!? 欧州日産が発表したマイナーチェンジ版リーフと新型軽EVサクラ(20枚)画像ギャラリー投稿 日産リーフが欧州でマイナーチェンジ! 日本は5月下旬発表! そして新型軽EVサクラは4月21日発表 5月13日発売決定! は 自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。