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隣国ウクライナへのおそろしい侵攻が拡大するのにともない、ロシア大使館に関する一連のTwitterアカウントは誤情報をばらまいているが、長くは続かないだろう。

というのも米国時間3月10日、Twitterはマリウポリの病院爆撃の現場から避難しようとする被害者の妊婦を「とてもリアルなメイクをした役者」だと主張する、特にひどいツイートに対して行動を起こしたからだ。そのアカウントはロンドンにあるロシア大使館のもので、現在行われているウクライナでのロシアに侵略行為に関する嘘の情報を熱心に撒き散らしていた。

爆撃の後の妊婦の写真へのレスとして@RussianEmbassyは次のようにツイートした。

彼女のメイクはとてもリアルだ。美容に関する彼女のブログも良くできている。しかも彼女は爆撃のとき、その産院にいたはずがない。あそこはかなり前からネオナチのアゾフ連隊が占拠し、スタッフ全員がそこを退去するよういわれていた。

このデマは、ロシア語のTelegramチャンネルから発信されたようで、病院にいたウクライナ人ブロガーが、爆破現場で2人の異なる妊婦の役を演じていたと非難している。

ロシアはウクライナへの軍事侵攻を否定し、歪曲し続けている。それらには、簡単にばれる嘘がくっついていることが多い。しかし、その情報は現在でも誤報のエコシステムの中で跳ね回っている。そしてますます活発になり、次のもっと奇怪な主張を煽っている。

Twitterはこの24時間で、ロンドンのロシア大使館による少なくとも3件のツイートをルール違反で削除している。それでも、大使館のフィードのトップに固定されたツイートは、ウクライナが、地元の指導者がロシア政権に支援されている同国東部の2地域の人々を「絶滅」させようとしていると非難している。

「絶滅」という言葉は、ウクライナへの宣戦布告を正当しようとするロシアの大統領ウラジミール・プーチンの、誤解を招く表現に呼応している。プーチンは2022年2月、「本日、ドンバスで起きていることはジェノサイドだ」と宣言し、侵攻のための偽りの基礎を築いた。侵攻に関するロシアの偽情報に対して、Twitterはどのような線引きをしているのかに関しては問い合わせをしている。

ロシアが「バーチャル」な大使館の存在を利用して自分たちだけの説をばらまくのは、これが初めてではない。Atlantic CouncilのDigital Forensic Research Lab(デジタル犯罪捜査研究所)は、ロシア政府が公式と非公式のアカウントのありとあらゆるかたちで組み合わせて、その歪曲されたメッセージをオンラインで増幅している方法を調査研究している。

上級研究員のBen Nimmo(ベン・ニモ)氏は「使用するチャネルの一部は明白かつ公式で、その他は内密で独立と称しています。すべてが協働して複数の声と視点を装い、組織化されていることを隠蔽します」と述べている。

米国時間3月10日、Twitterは、少なくとも1つの、顕著な偽情報ソースsuspending @asbmilitaryに対するより決定的アクションを行った。このアカウントは、ウクライナに米国の生物兵器研究所があるという、偽りの陰謀理論の拡散で活動的な役割を演じた。バイデン政権は、生物兵器関連の誤報の殺到が、ロシアの化学兵器攻撃の前触れなのかもしれないと懸念している

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画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hiroshi Iwatani)