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マリア・ペヴチク氏(ツイッターより)

プーチン政権を追及している凄腕の女性ジャーナリストがツイッターで、ラブロフ外相が20年の長きに渡って連れ沿う愛人や継娘の存在、さらにはその愛人が外交団のメンバーとして外遊に同行する“公私混同”の疑いがあることを指摘し、日本のネットでも注目されつつある。

この女性は、ロシア出身のマリア・ペヴチク氏(34歳)。イギリスの世界的な名門大学、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで学んだ才女で、そのまま同国に永住。元々はジャーナリストではないものの、豪ABCニュースの昨年2月の報道によれば、母国の著名な反体制活動家、アレクセイ・ナワリヌイ氏=政治犯で収監中=と活動をともにするようになり、同氏が率いる非営利の「反汚職財団」の調査ユニットを統括している。

2年前、ナワリヌイ氏が旅先で暗殺未遂に遭った際、同行しており、同氏が倒れた後、部屋にあったペットボトルをいち早く回収。これが鑑定の結果、化学兵器ノビチョクが使われた痕跡が特定されるきっかけとなり注目された。政府高官や銀行首脳の汚職や女性スキャンダルを続々と発掘、やがて黒海沿岸のリゾート地に隠されていたことで世界的に話題になった「プーチン宮殿」の存在を暴くなど、政権の政権の問題点を追及してきた。

ラブロフ氏(By U.S. Department of State from United States , Public Domain)

そのペヴチク氏がターゲットにしたのが、プーチン氏の側近ラブロフ外相だ。先ごろの病院への空爆について「患者はいなかった」などとの妄言を吐き、日本のネット民からも総スカンを食らって悪名を轟かせているベテラン外相だが、ペヴチク氏はここぞとばかりに痛烈にスキャンダル砲を浴びせた。

ペヴチク氏は10日に更新したツイッターで、まずロンドン在住の26歳の女性、ポリーナ・コヴァレワ氏の存在を紹介。パーティ好きで高級マンションに住むなど贅沢三昧をしていると説明した上で、彼女がラブロフ氏とは血縁関係のない「継娘」であると説明した。

ついでにプーチン氏が元新体操選手で、金メダリストのアリーナ・カバエワ氏と愛人関係にあったことや、ショイグ国防相にも「2人の妻と2組の子供が同時にいた」ことに言及しつつ、「ラブロフ氏も例外ではない」と指摘した上で、

ラブロフには過去半世紀、「公式」の妻がいるが、誰も彼女の噂を聞いたり、公の場で一緒に見たりしたことはない。対照的に、スヴェルタナ・ポリヤコバ氏こそ実質的な妻であり、2000年代初めから連れ添ってきた。

などと外相の秘めたる私生活を赤裸々に綴った。

これだけなら政府高官のスキャンダル話で終わるところだが、ペヴチク氏の暴露はここからが本番。実質的な妻であるポリヤコバ氏はモスクワ市内で600万〜800万ドル相当の超高級マンションを購入し、ベンツなどの高級車を所有。さらには、ラブロフ氏のすべての公務の出張に同行し、その証拠として家族全員が外交使節団のメンバーとして登録されている文書も提示。外務省所有の航空機にも60回以上搭乗していたことも判明した、とペヴチク氏は主張している。

これらのツイートは、日本でも朝日新聞のヨーロッパ総局長がツイッターで紹介して注目された。「情報戦とはいえ、こういうのがこんなあからさまに暴露されるのもどうかなと思うよね」と苦言を示す国際政治学者もいたが、ツイートの翌日には英高級紙のタイムスも報道。日本のネットユーザーからは

ロシア政府幹部の甘い汁をご家族総出で吸ってらっしゃるのね!

権力者の腐敗した姿……ってなカンジ、この先久しからず。

などと、呆れる声も少なからずあがっていた。

日本にも「新聞記者」という題名の新書を書き、映画化されて悦に入っている女性記者がいるが、世界を驚かせる調査力、取材力を持つペヴチク氏の足元にも及ばないようだ。“ロシアの望月衣塑子”どころか、“ロシアの文春砲”といった方が相応しい存在感のペヴチク氏だが、日本人が勝手に自国の週刊誌を引き合いにするのも申し訳ないくらいの活躍ぶりだ。