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<p>動揺続く市場…原油、ニッケル高騰 制裁の行方次第</p><p>動揺続く市場…原油、ニッケル高騰 制裁の行方次第 金属資源の供給不安による急騰に伴いロンドン金属取引所はニッケル取引の停止を決めた。日経平均株価はこの間に合わせて約1300円下落し、市場規模を示す東京証券取引所1部の時価総額が30兆円近く吹き飛んだ。</p><p>ロシア軍がウクライナへ侵攻した2月24日から約2週間、情勢の緊迫化で市場の動揺が続いている。金属資源の供給不安による急騰に伴いロンドン金属取引所はニッケル取引…</p><p>ロシア軍がウクライナへ侵攻した2月24日から約2週間、情勢の緊迫化で市場の動揺が続いている。金属資源の供給不安による急騰に伴いロンドン金属取引所はニッケル取引の停止を決めた。日経平均株価はこの間に合わせて約1300円下落し、市場規模を示す東京証券取引所1部の時価総額が30兆円近く吹き飛んだ。一方で、投資資金が穀物先物や原油先物など資源関連の「コモディティ系投資信託」に流入し相場上昇の要因にもなっている。 幅広い取引商品の市況価格が乱高下している背景には、ロシア経済の混乱で同国産の輸出が正常化されない可能性や、日米欧の経済制裁を受けたロシアが報復として原油や天然ガス、希少金属(レアメタル)などの禁輸措置で対抗する懸念が高まっているためだ。 特にロシアが生産量で世界的に高いシェアを持つ鉱物資源の価格は、ここに来て激しい値動きを示している。8日には電池の主要素材として使われるニッケルの先物価格が一時1トン当たり10万ドルを超え、前日のおよそ2倍に急騰して最高値をつけたため、ロンドン金属取引所は取引を一時停止する異例の措置をとった。 産出量で世界全体の4割をロシアが占めるパラジウムも値動きが大きい。ウクライナ侵攻以降、3月10日現在までの間に2割近く価格が上昇。ニューヨーク商業取引所では7日、パラジウムの先物価格が一時、1トロイオンス当たり3425ドルまで上昇し、取引時間中の最高値を約10カ月ぶりに更新した。同日には、シカゴ商品取引所で小麦の先物価格も最高値を更新している。 野村証券の大越龍文シニアエコノミストは、ロシアとウクライナの協議で情勢が改善したとしても「欧米各国の経済制裁が緩められない限り、不安定な市況環境が続く」と指摘。幅広いものの価格高騰が当面続くと予想され、世界的なインフレを加速させる懸念は強まっている。(西村利也) 特集・連載:</p>