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歯の再生治療薬の研究・開発加速、歯科領域創薬の京大発スタートアップ「トレジェムバイオファーマ」が4.5億円調達

歯科領域創薬の京大発スタートアップ企業「トレジェムバイオファーマ」(Toregem Biopharma)は3月8日、第三者割当増資による総額4億5000万円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、京都大学イノベーションキャピタル、Astellas Venture Management LLC、Gemseki、フューチャーベンチャーキャピタル、京信ソーシャルキャピタル、京都市スタートアップ支援2号ファンド。

調達した資金により、USAG-1中和抗体の非臨床安全性試験と治験用製剤の製造準備を進め、世界初の歯の再生治療薬の研究開発を一層加速させ、2023年度内の治験開始を目指す。

トレジェムバイオファーマは、京都大学大学院医学研究科口腔外科学分野の髙橋克准教授(現、同客員研究員、公益財団法人田附興風会医学研究所北野病院歯科口腔外科主任部長)による長年の研究成果に基づき、2020年5月に設立。

骨形成たんぱく質であるBMPなどの働きを阻害する分子「USAG-1」が歯の発生過程に関与し、USAG-1を抑制する中和抗体によって無歯症モデル動物で欠損歯が回復することを明らかにした。

一般的な歯の治療法である義歯やインプラントの人工歯に対し、抗体製剤(注射薬)など医薬品による自己歯の再生は根治的な治療法となりえる可能性があり、同社は、同研究で得られた中和抗体を新規医薬品として上市を目指すとしている。

また現在、先天性無歯症を最初の適応疾患として研究開発を進めているという。先天性無歯症では、患者が未成年で顎骨が発達期にあるため義歯やインプラントの適用が困難であり、成人するまで根治的な治療法の無い希少疾患となっている。現状は成人するまでの長期間を温存療法で耐えるしかなく、歯の欠損が栄養確保と成長に悪い影響を及ぼすため、根治的な治療法の開発が強く望まれている。

そこでトレジェムバイオファーマの開発物質により、先天性無歯症患者の自己歯を再生してQOLの改善を提供するという。さらに、USAG-1の中和抗体は永久歯の後の第三生歯を発生させることも期待されており、将来的には高齢者のオーラルフレイル(口腔内の虚弱)改善まで展開し、歯科治療に広く貢献したいと考えているそうだ。