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共産党の志位和夫委員長が7日、党本部での会合で「急迫不正の主権侵害が起こった場合には、自衛隊を含めてあらゆる手段を行使して、国民の命と日本の主権を守りぬくのが党の立場だ」と述べたことが、ネット上で大きな話題となっている。

志位氏の発言は同日夕方から報道各社で速報。このうち読売新聞(8日)によると、自衛隊の解消を掲げる共産党の綱領と矛盾しているとの批判が出ているという。

「なにより、いのち」はいいとして、自衛隊への見解は「ぶれて」いませんか?(共産党21年衆院選ポスターより)

ネット上に溢れる批判の声

ネット上を確認してみると、読売新聞の指摘通りの批判が多数確認できた。

急に手のひら返しで自衛隊に守ってもらうとは都合が良すぎる。あなた方は大好きな憲法9条に守ってもらいなさい。

自衛隊を下に見ている…

なに都合の良いこと言ってんねん

普段から自衛隊反対を唱える共産党系が良くも言えるね。此奴らが自衛官に対してどんな暴言を吐いて居るか。

自民党の細野豪志議員はツイッターで、共産党が現実路線にシフトしつつあることを歓迎しながらも、共産党綱領との矛盾を指摘した。

志位委員長が「急迫不正の主権侵害が起こった場合には、自衛隊を含めてあらゆる手段を行使して国民の命と日本の主権を守りぬく」と発言。隔世の感があるが「国民の合意での憲法第9条の完全実施(自衛隊の解消)に向かっての前進をはかる」という共産党綱領との整合性は?

22年前の決議「自衛隊が憲法違反の存在」

その細野氏が指摘する共産党綱領とはどのようなものだったのか?

共産党は2000年の党大会で党綱領の一部を改訂し、「自衛隊の段階的解消」の方針を決めた。2000年11月に行われた「日本共産党第22回大会」で次のような決議がなされた。

憲法九条にてらすならば、自衛隊が憲法違反の存在であることは、明らかである。世界でも有数の巨額の軍事費をのみこみ、最新鋭の現代兵器で武装した軍隊を、「戦力ではない自衛力」などといってごまかす解釈改憲は、もはや到底なりたたない。

自衛隊を「段階的解消」の方針を定めた理由について、2003年7月に行われた「日本共産党創立81周年記念講演会」で党中央委員会議長(当時)の不破哲三氏は次のように述べていた。

日本の憲法第九条には、日本は戦力を持たない、それからまた、武力行使はしない、武力による威嚇もしない、国際紛争の解決に武力は使わない、こういうことが明記してあります。

この条項に照らしていえば、自衛隊をもっとも強く擁護する人でも、いまでは自衛隊が戦力であることを否定する人はいません。その点からいっても、いまの自衛隊のあり方、ついに海外派兵までやるようになった現状が憲法違反であることは明らかであって、自衛隊を違憲の存在だとするわれわれの立場は少しも変わりません

しかし、これも、日本共産党がそういう主張をし、そういう立場をとっているというだけでは、解決できないのです。すでに半世紀、国民は自衛隊とともに生活してきました。“安保条約と自衛隊なしに日本の安全は守れない”ということが、それこそ、国をあげてという形で広められてきました。憲法と自衛隊との矛盾を解決するには、やはり、国民の合意というものが何よりも大事になります。私たちはこういう立場で、三年前の党大会で自衛隊の段階的解消という方針を定めました

kscz58ynk /Photo AC

ネット民「都合の良いときだけ頼るなよ」

共産党の門原武志・愛知県東郷町議は次のようにツイートし、志位氏は従来までの共産党の考え方を述べたに過ぎないとの見解を示した。

2000年11月の第22回大会の決議で、自衛隊の活用について述べている。今まで言ってたことと違うと多くの政治家が批判しているようですが、いかに日本共産党に関心がなかったのかが伺えるようで寂しいですが、今は関心を持ってもらってるようで嬉しいことです。

確かに決議文には、次のように記されてはいた。

そうした過渡的な時期に、急迫不正の主権侵害、大規模災害など、必要にせまられた場合には、存在している自衛隊を国民の安全のために活用する。

しかし、ネット上には共産党が陸上自衛隊の訓練を「人殺しの訓練」と表現したビラを配布したなど、自衛隊に対する共産党の過去の言動を指摘したうえで、「都合の良い時だけ自衛隊に頼るなよ」といった声もあった。さらに、「国民のために日々厳しい訓練されている自衛隊の皆様を、違憲だけど国民守るのに仕方がないから使うだって?」「過去の自衛隊やその家族に対する嫌がらせなどを土下座で謝罪してからこういう主張の変更をして欲しいところ」といった意見も確認できた。有権者のこういった声に、共産党はどうこたえるだろうか。