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能楽師の家に生まれた私は物心つく前から能の子方(子役)として毎日のように稽古をしていた。実家の二階が稽古場だ。この青い陶器の壺(つぼ)は長年稽古場の床の間に父が飾っていたものだ。6人兄弟の5番目で家を継ぐわけではないものの、小学生の頃は夏や秋になると毎週舞台に立っていた。「安宅の勧…