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最近いつボンネット開けましたか? 運転者の義務「日常点検」やらないと危ないこれだけの理由

 JAFによると、2020年度のJAFロードサービス出動理由の TOP3は、1位が「バッテリー上り」、2位が「タイヤのパンク」で、この2つで出動全体の60%にもなるという。

 ドライバーには、安全走行と環境保全のために、2年ごと(新車は3年)の車検や法定点検のほか、日常点検も義務付けられている。もし、日常点検を怠ったために事故を起こしてしまったら…。日常点検をやらないと危ない理由と、日常点検をする際のポイントについてご紹介しよう。

文:立花義人、エムスリープロダクション
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写真:Adobe Stock、写真AC、エムスリープロダクション

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システムはあくまで「サポート」という認識を忘れてはいけない

 「最近のクルマはメンテナンスフリーだし、車検だけ受けていれば十分じゃないの?」と思っている人もいるようだが、クルマの保守管理責任は道路運送車両法によってユーザーに義務付けられており、その必要性は現代でも変わっていない。

 技術の進化によって、昔に比べてクルマの信頼性は格段に向上している。現代のクルマには、各種センサーが取り付けられており、クルマに異常があればすぐに知らせてくれる。重大な事故に繋がりかねないタイヤの空気圧不足だって、今では多くの車種にタイヤ空気圧監視システム(TPMSなど)が搭載されるようになった。

 ただ、クルマの保守管理の責任が、それらのシステムにあるわけではなく、責任はあくまでドライバーにある。法律で「日常点検はドライバーの義務」と定められている以上、空気圧不足で事故を起こしたとしても、「警告システムが作動しなかった」という言い訳は通用しないと考えなければならない。システムはあくまで「サポートしてくれるもの」であり、絶対ではないということを、忘れてはならないのだ。

最近のクルマは各種センサーが搭載されており、クルマに異常があれば知らせてくれるが、だからといって日常点検をしなくて良いという意味ではない

しっかり点検をしておけば多くのトラブルを回避することができる

 たとえば、JAF出動理由2位のタイヤのパンクは、日常的にタイヤの状態をチェックしておくことで、多くのトラブルを未然に防ぐことができるし、第1位のバッテリー上りも、バッテリー液の量や、およそ3年毎の交換時期を把握し、定期的に交換をしていれば、多くの場合がトラブルを未然に防ぐことができる。

 特に最近のバッテリーは高性能であるため、期限を超えても問題なく使えてしまう場合が多く、寿命が近づいていることがわかりづらい。直前までしっかり作動していたのに、突然動かなくなってしまう、ということもなくはない。

 タイヤも、突然溝がなくなることはないが、異物が刺さるなどして、徐々に空気圧が下がるスローパンクチャーとなりうる。

 「クルマのメンテナンスは、お金もかかるし面倒…」というのもわからなくはないが、それがトラブルにつながってしまえば、もっと大きな代償を払うことになりかねない。もし、高速走行中タイヤがパンクして、その際にハンドルをとられて隣接する車線や対向車線に飛び出してしまったら…。もし、走行中のアイドリングストップ状態から、動かなくなってしまったら…。点検を怠ったことを心底後悔することになるだろう。

3分で簡単にできるクイック・カーチェック!!

 「そうはいっても、手間がかかるし」と言う方は多いだろう。だが案外、チェックすることはカンタンで、時間もさほどかからない。洗車のついで(若しくは余裕のあるとき)に、さっとできる、クイック・カーチェックをご紹介したい。

 まず、エンジンルーム内の点検で必要なのは、ブレーキ液の量、バッテリー液の量、ウインドーウォッシャ液の量、冷却水の量、エンジンオイルの量、この5項目だ。

 エンジンオイルのチェックはウエス(布)が必要となるが、それ以外は、ケースの外から液量をチェックできる(ウィンドーウォッシャ液は、蓋に空いた穴を塞いで蓋を引き抜くことで目視できるタイプが多い)。既定の範囲内に無ければ(特に減る側)、何らかの異常があって漏れ出した可能性がある。

 エンジンオイルの交換サイクルはメーカー推奨値(おおよそ5000km毎、シビアコンディションだと3000km毎など)をしっかり守るようにしよう。

 タイヤ周りも1分あればチェックができる。項目は、タイヤの亀裂や損傷の有無、空気圧、溝の深さだ。タイヤは新しくても徐々に空気がもれていくため、気がつくと、空気圧が下がっていることが多い。ガソリン補給(バッテリーEVなら充電待機中など)の際にスタンドでエアチェッカーを借りて、月イチ程度は圧力合わせをしてほしい。高速道路をよく利用する方であればなおさらだ。

 ランプ類の点灯や点滅のチェックも重要だ。最近のクルマはLEDの灯火が増えてきたので、あまり球切れというのは心配しなくてもよくなってきたが、球切れ以外のトラブルの可能性もゼロではないので、全てきちんと点灯するかどうかチェックしなくてはならない。

 また、外部のカバーにヒビや損傷がないかも確認してほしい。ヒビや割れなどは、状況によっては整備不良の対象となるからだ。

ゴムは時間が経過するだけで劣化が進む。あまり乗らない人でも定期的な点検が必要だ

 普段、運転しているときにチェックできることもある。例えば、エンジンのかかり具合や異音、ブレーキの踏み残りしろ(効き具合)、駐車ブレーキの引きしろ(踏みしろ)、アイドリング中や走行中のエンジンの音(普段と違う異音が鳴っていないかなど)、ワイパーの拭き取り状態などだ。

 エンジンをかけた時に注意して音を聞き、普段と違う音を感じるようであれば、整備工場やディーラーに相談してほしい。大きなトラブルに発展する前に修理できれば、多額の出費を防げる可能性もある。

 またペダルの状態を確認しておくのも大切な点検だ。気づかないうちにペダル付近に物が落ちていたりすると、操作に支障が出て重大な事故にもつながりかねない。

ペダルの引っかかりがないか、フロアマットがずれてペダルに被っていないかなどを点検。ちょっとしたことが安全なドライブにつながる

事故を起こさないためにはまず、日常点検から!!

 こうした日常点検は、毎回の運転前にしなければならないわけではなく、「走行距離や運行時の状態などから判断した適切な時期に実施」とされている。各種警告システムが充実してきているとはいえ、人間の目や耳、鼻から得られる情報は大きい。専門知識が必要なわけでもなく、誰でもできる、簡単な点検ばかりだ。事故を起こさないためにはまず、日常点検から。ドライバーならばこれを忘れてはならい。

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