スタートアップとマーケットの週刊ニュースレター、The TechCrunch Exchangeへようこそ。
みなさん、こんにちは!このメールのために残しておいた話題があったのだが、予定がずれ込んでしまったので、それは数日後にご紹介する。ということで、本日の分に少し余裕が出たのは良い点だ。
では、ウクライナに対するテック業界の反応、APIスタートアップ、スタートアップの評価額について話すことにしよう。おもしろい内容だと思う。
勇気を見せるテック業界
ロシアがウクライナに侵攻したとき、世界はその泥沼に関わろうとしないのではないかと心配していた。しかし幸いなことに、事態はほぼその逆の様相を見せている。そしてさらに、テック業界が立ち上がった。
しかも、滑稽で悲劇的な今回の侵略に対する、ポジショニングや言葉だけの対応ではなく、ビジネスに影響を与えるような対応だ。Microsoft(マイクロソフト)などがロシアでの販売を中止したり、Airbnb(エアビーアンドビー)が撤退したり、大小さまざまなハイテク企業が騒ぎ立てていたりしていることには、励まされる。
その行動の積み重ねは、どのような結果になるのだろうか?その答はまだわからないが、ロシアも同じように、国民が実際に何が起こっているのかを把握するために利用するかもしれない国内のソーシャルサービスを禁止している。そのため、ロシア国内外からの技術製品・サービスのブラックアウトが起きているのだ。ロシアが、地理的にも経済的にも世界のどれほどの地域と関わっているかを考えると、私たちは実験的な状況を見ていることになる。
おそらく、このテック業界の動きは、より大きな国際的制裁の推進を補完するものとなるだろう。しかしこうした動きは、軍事力を行使して小国を壊滅させようと考えている他の国に対しても、そのような侵略行動への反応は国民国家からだけ起こされるものではないことを示していて、好戦的な国家に少しばかり冷水を浴びせる役目を果たしているかもしれない。
テック業界が、独裁的な帝国主義と手を切りつつあるというニュースを、この先も聞き続けられることを期待したい。
APIスタートアップ
やれやれ。今週は、GGVの新しいAPIスタートアップインデックスについての記事を書いた。それはGGVの新しいプロジェクトだが、好感が持てた。簡単に言えば、GGVは、クールな非公開APIスタートアップのデータベースのようなものを構築しているのだ。当然、VC(GGV)はAPIの話題の中心にいたいので、この取り組みはリサーチプロジェクトであると同時に、ある種のコンテンツマーケティングでもある。
しかし、約8392社のAPIスタートアップ、または自身のモデルに強力なAPIコンポーネントを持つスタートアップを、リストアップする良いきっかけになっている。そして、さらに多くのスタートアップが追加され続けている。そのようなスタートアップの1つがHighnote(ハイノート)だ。同社は他社がカード発行サービスを自社製品に組み込めるようなAPIを開発している。
私は、先の記事を書く際にすべてのリンクを探すために腱鞘炎を患ってしまったので、記事で紹介したAPIスタートアップに新しい名前を追加するつもりはなかったのが、Highnoteの特性の一部が私の目を引いた。同社のウェブサイトでは、同社のサービスを利用することで、カード発行の迅速な立ち上げが可能になると説明されている。そう、それこそが、APIによって提供されるサービスのポイントであり、(問題ではなく)製品が必要とされる場所での複雑さを取り除いた簡潔さを提供するのだ、
そう、そして2日間かけて企業ベンチャーの世界を掘り下げているうちに、ここには似たような部分があることに気が付いた。Airbase(エアベース)がAmex Venturesから資金を調達し、同社のソフトウェアをAmexの顧客に提供する契約を結んだ際、Amexの関心の1つは、基本的に市場投入までの時間だった。Airbaseがすでに作り上げていたものを独自に開発するよりも、提携・出資した方がより迅速に進めることができたからだ。
どこかで聞いたような話では?ある意味、APIスタートアップは、あらゆる企業がこれまで以上に迅速に製品を生み出しテストすることを可能にしている。これは、作るべきか買うべきかの議論を、これまで以上に迅速かつ明確に進められるようになったということも意味する。つまり、中小企業にとってのAPI製品は、既存企業にとってのコーポレートベンチャーキャピタルということだろうか?まあそんな部分もあるということで!
週末に考えたことだが、気になったので共有しよう思った。
みんながやられた
締めくくりは、悪いニュースだ。SaaSの成長率は、中堅企業でも1桁台まで圧縮されてしまった。このことが意味するのは、スタートアップが2桁の収益(ARRなど)伸び率を目標とするならば、ほぼすべての同業他社よりも速く成長しなければならないことを意味する。新型コロナウイルス(COVID-19)の時にソフトウェア会社が得た利益を、株式市場は基本的に失ってしまったのだ。評価額の観点からは、以前もしくはより悪化している。
ARRの100倍に達するリッチラウンドを調達できたスタートアップのみなさん、ご健闘を。
画像クレジット:Nigel Sussman
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(文:Alex Wilhelm、翻訳:sako)