自分の愛車を公道で走行するためには、車検を受けなければならないし、法定24カ月点検を車検の行う前後で行う必要がある。また、自動車税、自動車重量税を納め、自賠責保険そして自動車保険に加入する必要がある。
しかしナンバーを切って、自宅の車庫や倉庫に保管したいという場合は、どんな費用が発生するのだろうか。その際に発生する費用などを調べてみた。
文/萩原文博
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車検とはどのような制度なのか
車検とは、「自動車検査登録制度」の略称であり、乗る車が国の定める安全基準を満たしているかどうかを検査し、所有者を登録する制度のことだ。日本の場合、新車は3年、その後は2年毎に車検を行う必要があり、日本では車検に合格していない車は公道を走行することはできない。
車検には新規検査と継続検査の2種類があり、このほかに改造車を対象とする構造等変更検査がある。新規検査とは新車またはナンバープレートのついていない車の検査であり、主にディーラーが行うもの。
いっぽうの継続検査はナンバーが付いたクルマの車検の有効期間を延長するための検査のことで、一般的な車検はこの継続検査のことを指す。車検を受けずに有効期間を過ぎてしまうと車検切れとなり、車検切れのクルマで公道を走行すると、違反点数6点の行政処分となり、30日間の免許停止処分となる。
さらに、行政処分に加えて刑事処分を下され、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられるのだ。ただし、車検切れとなった場合でも、車検を受けて合格すれば公道を走行できるようになる。
車検切れの車を再び走行できるようにするために新規と継続どちらの検査を受ければ良いかは、ナンバープレートがついているかどうかによって変わる。ナンバーがついている場合は継続検査、ついていないときは新規検査となる。走行するにはナンバープレートがついているので、抹消登録をしない限りは取りつけられている。
車検きれても長年連れ添った愛車を手元に残す方法とは
今回のケースのように、長年連れ添った愛車を手元に残しておくことは可能なのかというと、可能だ。ただし、ナンバーを継続させるか、それとも抹消登録をしてナンバーを切ってしまうかによってコストが変わってくる。
抹消登録してナンバーを切ってしまうと、もうそのままでは公道を走行することはできなくなってしまう。もし、また公道を走行したいとなった場合、クルマをローダーなどで整備工場や陸運局に運んで、ナンバーを再取得する必要がある。その際、以前付けていたナンバーとは変わってしまうのがデメリットだ。
いっぽう、車検が切れてもナンバーを付けたままにしておくと、車が登録された状態では毎年、自動車税や軽自動車税の納税義務が発生する。ただし、一時的に車の使用を中止する手続き(一時抹消登録もしくは自動車検査証返納届)を行うことで納税は必要なくなる。
また、公道を走行したいと思った場合は、車検を受けて、自動車税、自動車重量税、自賠責保険に加入すればOK、そして初度登録したときのナンバーを継続することができる。
もう、2度と公道を走行しないというのであればいいが、再び車検を取って車に乗るような場合は、車のコンディションを維持するためにも、定期的なメンテナンスが必要となる。
エンジンを1カ月もかけないと、オイルがエンジン下部にあるオイルパンに完全に落ちてしまい、エンジン内の潤滑性能が保てず、再始動時にエンジンの焼き付きの原因になるので、できれば1週間に1度程度エンジンを掛けたい。
長期にわたりエンジンを起動しないのであれば、バッテリーを外して、自然放電を防いだり、タイヤは保管中、常に同じ個所に負担がかかるので、変形やひび割れの要因にもなるため、できれば定期的にタイヤ位置を変えたりするなど、放置プレーではだめだ。
車検が切れたクルマも抹消登録をしてナンバーを切ってしまえば1/1のミニカーのようなものなので、いつまでも自分の手元に置いておくことが可能ということになる。つまり車検切れの車を駐車場や車庫で保管しても、違法ではない。しかし、公道を自走した場合は違法となるので、絶対にしてはならない行為だ。
【画像ギャラリー】車検切れのクルマをいつまでも保管する時の注意点(5枚)画像ギャラリー投稿 やり方次第で全然違う?? 車検を通さずガレージ保管!! 大事な愛車のナンバー再取得費用と選択肢 は 自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。