4月6日、トヨタ自動車と東和不動産は合同で記者会見を行い、静岡県小山町の富士スピードウェイそばに設けられる『富士モータースポーツフォレスト』の計画について発表した。富士スピードウェイを中心に富士スピードウェイホテルや富士モータースポーツミュージアム、レーシングチームのガレージが集まるエリア、温浴施設、レストラン等も計画されている。
もともと富士スピードウェイ周辺については、2018年にサーキットに沿った敷地に『富士スピードウェイホテル』、そして『モータースポーツビレッジ』が計画されていた。すでに13コーナー立ち上がりにはROOKIE Racingのファクトリーが建設されているが、この日、トヨタと東和不動産が合同記者会見を行い、『富士モータースポーツフォレスト』と題したプロジェクトを推進すると発表した。
この日行われた会見では、GRカンパニーの佐藤恒治プレジデント、東和不動産の山村知秀社長が出席。『富士モータースポーツフォレスト』についての説明を行った。このなかで『富士モータースポーツフォレスト』は、「モビリティとモータースポーツの魅力を知り、楽しみ、参加することで、人生をより豊かに、幸せになっていただける『大人の遊び場・社交場』を目指します」と語られた。
その目的のために、「エリア内の各施設には大人から子どもまで楽しめるさまざまな体験を提供し、『未来のモビリティ・モータースポーツの街』を創出してまいります」としている。目指すはモータースポーツを起点としたサステナブルな街づくりだという。
具体的には、富士スピードウェイを中心に最終コーナーアウト側に建設されている『富士スピードウェイホテル』、時代を象徴するレーシングカーを展示する『富士モータースポーツミュージアム』、そして国内有数のレーシングチームのガレージ、より多くの方に立ち寄っていただける温浴施設、レストランなど、モータースポーツ文化を楽しめる多彩な施設から構成される。
各施設についても説明があり、日本初上陸ブランド『アンバウンド コレクション by Hyatt』として開業する『富士スピードウェイホテル』は眼前に迫るサーキットビューと富士山ビューを楽しめる客室とともに、トヨタ博物館監修の『富士モータースポーツミュージアム』では、国内外のメーカー各社のご協力により、時代を象徴するレーシングカーを楽しめる。
また、『レーシングチームのガレージが集まるエリア』では。ふだん見ることができないプロレーシングチームのガレージ特別見学ツアーや、メーカーファクトリーなどのイベントが計画されている。さらに、近隣の観光スポットからの帰りにも気軽に立ち寄れる温浴施設や、レストランなどを構想中としている。
今後、2022年秋に『富士スピードウェイホテル』と『富士モータースポーツミュージアム』が開業予定。すでにROOKIE Racingのファクトリーが稼働を始めているが、2023年以降、さらに多くのレーシングチームのガレージなどが順次、開業予定だとしている。
またこの日の発表では、東和不動産の山村社長から、同時に東和不動産の社名が『トヨタ不動産』に変更されることになったと説明された。トヨタ自動車の豊田章男社長は東和不動産の会長でもあるが、「不動産の世界の人間として、できることを思うようにやって下さい」と豊田会長から山村社長が声をかけられ、長い歴史を踏まえた上で、事業の幅を拡げていこうという今だからこそ、社名も前向きに変えていこうと決断が下されたという。
今回の発表には、豊田章男トヨタ自動車社長/東和不動産会長からもメッセージが寄せられた。「1966年5月3日、初めて富士スピードウェイで日本グランプリ決勝レースが行われた日です。56年前のその日、ちょうど10歳の誕生日を迎えた私は父に連れられ、富士のパドックにいました。エンジンの爆音やファンの歓声は、なんだか興奮するプレゼントだったということをよく覚えています」と豊田社長。
「クルマを前にした“おじさんたち”は、ものすごく真剣だったり、でも、とても楽しそうだったり、そんなことも思い出されます。こんな原体験が私を“クルマ大好きおじさん”、“モータースポーツ大好きおじさん”のモリゾウに育ててくれたのだと思います」
「『こんな原体験を、今の子供たちにもしてほしい……』富士モータースポーツフォレストには、そんな想いを詰め込もうとしています。そして、モータースポーツの現場で働く人が、もっとイキイキと働けるような場所にしていきたい。同じ思いをもったレーシングチームが、この地に集まれるようにしていきたい。フォレストに込めた思いを挙げればきりがありませんが、モータースポーツを楽しむ人も、モータースポーツで働く人も、大人も子供も、この富士の地に来たい! と思ってもらえるような場所にしてまいります」
「自動車産業の発展にモータースポーツは不可欠です。そのためにもモータースポーツの未来に向けた種を、たくさん、この地に撒いていきます。それぞれの成長スピードはバラバラですが、多くの人に楽しんでいただける素敵な森になるよう大切に育てていければと思っております」