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先週のロシアのウクライナ侵攻と隣国への侵略行為の継続に対し、テクノロジー業界からのさらなる応答としてGoogle(グーグル)とMicrosoft(マイクロソフト)は、どちらもロシアでの販売を停止していると言われる。

私たちの理解ではGoogleが停止したのは同社自身の広告の販売で、それは昨晩(米国時間03/03)始まって、その後の数時間で展開された。そのニュースは今朝、ロイターが報じた。

それはGoogleが初めてではなく、その前にSnapとTwitterもロシアでの広告の販売停止を発表した。ただし広告事業の規模は、Googleの方が相当大きい。

Googleが行うのはロシアにおけるすべての広告の停止であり、検索広告とYouTubeとディスプレイ広告のすべてが含まれ、停止は直ちに実行される。すなわちロシアの人たちは、広告のないGoogleのサービスやアプリを見ることになる。

ただし自国で独立のジャーナリストが前例のない弾圧に遭っているときであっても、ロシア以外の国では広告は健在で、ロシアの広告主がそのスペースを買うことは普通にできるし、それらの国で広告は普通に掲載される。

つまり、ロシアの出版物がGoogleの広告ネットワークを利用して国外で広告を掲出し、コンテンツの収益化を追求することは十分に可能だ。一方今朝ロシア議会で議決された法律により、軍に関する「不正な」情報を拡散した記者は最大で15年の懲役になる。

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一方Microsoftも、ロシアでの販売停止を発表した。今日のブログで同社は、「ロシアでのMicrosoftのプロダクトとサービスの今後のすべての販売を停止する」と言っている。

これには、Bingの広告やその他のMicrosoftのサービスも含まれるのだろう。目下本誌は、その確認を求めている。

そのブログ記事でMicrosoftの副社長Brad Smith氏がこう言っている: 「さらにまた私たちは、合衆国と欧州連合および連合王国と緊密に協力して、ロシアにおける弊社事業の多くの側面を、政府の制裁に準ずる形で停止しつつある」。

Googleの広告販売の制限という、対象の限られた動きは、同社が火曜日(米国時間03/01)に発表した措置の拡張だ。そこでは「情報の質の向上」という言葉が使われ、しかもそれは2月24日の早朝にロシアの侵攻が始まった直後、そしてヨーロッパの指導者たちがまる一日を費やして、ロシアの偽情報に対して断固たる行動を採るようテクノロジープラットホームに圧力をかけた直後のことだった。

最初Googleは、クレムリンにつながったメディアであるRussia Today(RT)とSputnikのYouTubeチャンネルをヨーロッパで禁じるつもりだったが、すぐにそれは、その二つのメディアのアプリを同じくヨーロッパではPlay Storeから外すことになった。それは、二つのメディアのYouTubeチャンネルに対する全EU的制裁が、法的有効になる水曜日(米国時間03/02)よりも前だった。

その前には、「ロシアの国営メディアがわれわれのプラットホームを利用して収益化を図ることの無期限停止」を発表していた。すなわち、RTのようなメディアはGoogleのプラットホームから広告収入を得たり、広告を買ったりすることができない。

しかしGoogleが今日確認したのは、特定メディアではなくロシア全域的に、広告の販売を凍結することだ。

広告販売の停止について、Googleの広報はこう説明している:

尋常ならざる情況に鑑み、私どもはロシアにおけるGoogleの広告を停止します。状況は急速に進化しておりますので、今後も引き続き適切な時期にアップデートを共有いたします。

現時点では、有料の消費者向けサービスやGoogle Playのアプリ販売など、広告以外の販売は停止しない。また、ロシア人が検索やマップ、YouTubeなどの情報サービスにアクセスすることも従来どおり可能だ。

ロシアがウクライナに侵攻して以来、Googleからの発表は細切れ状態だが、危機の進展に伴い一貫性のある対応を編み出すことが、Googleにとっても難しいからだろう。

それに対しMicrosoftは、もっと決定的だ。今週初めには、ロシアの「国が支援する偽情報」を狙った各種措置の包括的なパッケージを発表し、そして今日はそれを総括的な販売禁止に拡張した。

今週初めには、Apple(アップル)もロシアでの製品の販売を停止すると言い、Apple Payなど一部のサービスも制限した。また同社のApp Storeからは今週、RTとSputnikを全世界的に外した。ロシア市場だけは例外だ。

Facebookの親会社であるMetaの出方は、よくわからない。侵攻が始まったときこのソーシャルメディア大手は、RTとSputnikの降格など一連の制限を発表したが、本稿を書いている時点(米国時間03/04)では、このアドテックの大手でもある同社は、ロシアにおける広告の販売を停止していない。これについても、本誌は一応質問状を提出した。

もちろん、デジタルサービスへのアクセスという点では、ロシア人が今直面している難儀は私企業による禁止だけではない。ロシアの銀行に対する広範な制裁によって、同国では、一部のテクノロジーサービスへのアクセスも困難になっている。

(文:Natasha Lomas、翻訳:Hiroshi Iwatani)
画像クレジット: NurPhoto/Getty Images

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