<p>露軍、ウクライナ南部の原発制圧</p><p>露軍、ウクライナ南部の原発制圧 戦闘により原発施設の一部で火災が発生した。ウクライナ当局は周辺の放射線量に異常はなく、原発の安全性にも問題はないとしているが、稼働中の原発への攻撃という異例の事態に国際社会の懸念が強まった。</p><p>【モスクワ=小野田雄一】ロシアのウクライナ侵攻で、ロシア軍は4日未明(日本時間同日午前)、欧州最大のウクライナ南部ザポロジエ原発を攻撃し、制圧した。戦闘により…</p><p>【モスクワ=小野田雄一】ロシアのウクライナ侵攻で、ロシア軍は4日未明(日本時間同日午前)、欧州最大のウクライナ南部ザポロジエ原発を攻撃し、制圧した。戦闘により原発施設の一部で火災が発生した。ウクライナ当局は周辺の放射線量に異常はなく、原発の安全性にも問題はないとしているが、稼働中の原発への攻撃という異例の事態に国際社会の懸念が強まった。 国際原子力機関(IAEA)によると火災が発生したのは、6基ある原子炉のうちメンテナンスで運転を停止していた1号機の研修施設。数時間後に消火された。AP通信などによると、攻撃でウクライナ兵3人が死亡、2人が負傷。地元住民が原発を守るため周辺にトラックなどで築いたバリケードを、露軍の戦車部隊が突破し、原発敷地内に侵入。その後、研修施設で火災が起きた。 火災の発生当時、ウクライナのクレバ外相はツイッターで、爆発が起きれば1986年にソ連時代の同国で発生したチェルノブイリ原発事故の「10倍」の被害になると懸念。大惨事となっていた可能性を示した。 バイデン米大統領はウクライナのゼレンスキー大統領と電話で会談し、両首脳はロシアに軍事行動の停止を求めた。IAEAのグロッシ事務局長は4日、原発区域での砲撃について「(安全上の)根本原則に反する」と懸念を表明した。 露軍によるウクライナの原発制圧は侵攻後、北部チェルノブイリ原発に続き2カ所目。ロシアは電力という重要インフラを掌握することでウクライナ側に圧力をかける狙いとみられる。</p>