もっと詳しく

日野自動車がエンジン認証において不正行為があった旨を明らかにした。

img_mv_pc問題が見つかったのはA05C(HC-SCR)型の中型用エンジン、A09C型およびE13C型の大型用エンジンで、これらの各搭載車が出荷停止された。また、N04C型エンジンは不正の有無が確認されていないものの、燃費性能で問題が発覚した。

不正発覚の発端は、社員が米国向け車両のエンジン認証で課題があることを認識し、自主的に調査を開始したことにある。2018年11月のことだった。現地当局へは随時報告を実施していて引き続き調査中のため、具体的な内容は言及されていない。

これを受けて国内向けエンジンの調査にも対象を広げ、排ガスと燃費の再確認(社内で再試験)を21年4月から実施してきた。排ガス浄化装置の劣化試験には7〜9カ月ほど要するため、今日のタイミングでの発表になったという。
現時点で平成28年排ガス規制対象エンジンについて再確認が終わり、前出の機種で不正が確認されたカタチだ。それ以前のエンジンについては今後、調査を進めていくという。

A05C(HC-SCR)型の中型エンジンは排ガス浄化性能が劣化して規制値に適合しない可能性を認識し、後処理装置の第2マフラーを試験途中で交換していたことが確認された(試験は2016年9月に実施)。そのため、販売済み車両も経年劣化で排ガスが規制値を超えてしまう恐れもあり、リコールに向けて準備を進めているという。搭載車であるレンジャーの出荷も停止した。

A09C型およびE13C型の大型エンジンは認証試験で燃費測定の際に燃料流量校正値を有利な方向に設定し、実際よりも優れた燃費値が表示されるよう不正が行われていた(試験は2016年11〜12月に実施)。このエンジンはプロフィアとセレガに搭載されているため、出荷を停止した。

こうした不正の原因は開発現場での目標数値達成、スケジュール厳守に対するプレッシャーが背景にあったためだという。

出荷停止の対象台数は年間2万2000台程度に相当し、これは日野の国内販売の約35%にあたる。また、販売済み車両のうち、問題が発覚したエンジン搭載車は11万5500台に及ぶ。

スクリーンショット 2022-03-04 16.30.19先立って21年4月からエンジン開発と認証のチームを分けて業務を行っているものの、小木曽聡社長は「再発防止に向けて特別調査委員会を設けるなど対策を講じていきたい」とコメントした。また、下義生会長は「ものづくり企業として、あってはならない不正。再び信頼してもらえる企業になるために、目の前の問題に取り組んでいきたい」として引責辞任についての言及は避けた。