衆議院は4日、内閣委員会が開催され、自民党NFT(非代替性トークン)特別担当の平将明議員がWEB3.0(ブロックチェーン、トークンエコノミー、NFT、メタバース)について、質問に立った。
平議員は、WEB3.0は大きな社会の変革になるとしたうえで「このままでは、日本からなぜWEB3.0のメインプレーヤーが出てこないのかという議論を、来年あたりする羽目になりそう」と指摘。デジタル政策を担当する牧島かれんデジタル相と、成長戦略を担当する山際大志郎経済再生担当相に、WEB3.0が与えるインパクトについての所感を尋ねた。
牧島デジタル相は、「WEB3.0は従来のインターネットのあり方を変える可能性があると期待する見方があると受け止めている。デジタル社会の実現に向けて、日々変化する技術のトレンドをしっかりと把握して、流通動向を注視することが重要」と述べた。
これに対して、平議員は「変える可能性ではなく、確実に変わるという前提で政策を作っていく必要がある」と指摘した。
また、平議員が「党内で成長戦略の議論をさんざんさせていただいた」という山際担当相は、次のように述べた。
「ゲームチェンジができる相当なチャンス。ただ、WEB3.0の時代になったときに、プラットフォーマーの呪縛から我々はどう解き放たれるのか。このことの全体像がまだ見えていない。だからこそ、与党内でこの分野の政策をどうするかということを議論していただくことは本当に価値のあることだ。成長戦略の中に、しっかりと盛り込んでいきたい」
山際大臣のこの発言を受け、平議員は「成長戦略のイノベーションという意味でWEB3.0は非常に重要。スタートアップで成長意欲があるのもWEB3.0まわり。株式会社に変わる形で、トークン式会社というのが出てくる未来が見えている。国家戦略と位置付けたうえで、担当大臣とどこの役所のどの事務方が責任を負うのか、しっかり検討をしていただきたい」と政府に要望した。
WEB3.0時代の課税のあり方も
さらに、平議員は日本におけるWEB3.0の一番の問題点は課税のあり方だとしたうえで、具体的な問題点を次のように指摘した。
「たとえば、暗号資産のベンチャーがトークンを発行した時にガバナンストークン(運営方針などを決める際の発言権を表したトークン)をある程度持っていないと、経営の主導権を握れない。日本では、キャッシュになっていないにも関わらず時価評価で課税される。この課税があるから、ブロックチェーン界隈のスタートアップや技術者は日本で創業できない。日本で創業したくてもシンガポールなどに行かざるを得ない状況で、物凄い勢いで優秀な人材や有望なスタートアップが日本から流出している。カバナンストークに対する課税は見直すべきだ」
これに対し、財務省側は藤原崇財務政務官が答弁に立ったが、ガバナンストークンに対する、財務省の考え方を説明するにとどめた。
平議員は藤原氏の答弁を受けて、「現状は、海外に有意な人材が流出するのを促進する税制になっている。政務官に“税制を変えます”という答弁は絶対にできないので、我々与党が年末の税制調査会に向けて、イノベーションを促進していくためにどういう税制にすべきかということをしっかりと議論していく。そのうえで、政府に提案していきたい」と述べた。
平議員は、自民党NFT特別担当に就任する際、「スタートアップや人材が海外に流出する今の環境を改める」と述べていたが、早速、存在感を示した格好となった。