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文学賞では賞金を副賞と称して、正賞は何か机辺に置けるような記念の品ということが多いらしい。四十年あまり、賞どころか出版とも文芸誌とも無縁にひそひそと書いていたので、そんな正副など考えたこともなかったが、さかのぼれば二十六歳での読売短編小説賞のときには、まず電報で社に呼ばれ、ゲラが…