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騙(だま)し合い 五 月明かりの欠片(かけら)が騒ぐ夜の瀬戸内海を舟は東にすすむ。静かな海であった。北に、元就(もとなり)に取られた厳島(いつくしま)の島影が黒くみとめられた。舟がだいぶ陸から遠ざかった処(ところ)で房栄(ふさひで)は言う。