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 洋の東西を問わず子供たちに人気のある特装車といえば、ゴミ収集車というのが通り相場。ゴミ収集車はパッカー車などとも呼ばれますが、正式名称は塵芥収集車といいます。

 ここではゴミ収集車に統一しますが、ゴミ収集車の機能や運用方法は国によってずいぶん違います。

 ゴミ収集車の構造は、ゴミの圧縮・排出方法などによって、圧縮板式、回転板式、ロータリー式、さらにコンパクタ(圧縮装置)を持たないダンプ式などに大別できます。

 欧米式とも言えるウェイストコンテナ(ゴミ箱)ごと収集できるローダー装置を備えたゴミ収集車も経済的に発展した国々では普及し始めています。

 でも、ここでは欧米以外の国々の、日本ではめったに見られない珍しいゴミ収集車をド~ンとご紹介しましょう。

文/緒方吾郎 写真/各国メーカー

*2016年9月発売「フルロード」第21号より


■圧縮式を主流に電動化も進める中国

 著しい経済発展を遂げた中国のゴミ収集車の主流は圧縮式。だが、最近はサイドローダーや、小型車による収集+大型車で集積・運搬という、欧米スタイルも提案されている。

航天晨光CGJ5081ZYS圧縮式ゴミ収集車/GVW8.5t、積載量2.6〜3.0t・容積6.2㎥級。デザインは最新の日本車にも劣らず、電子制御システムや計量計など内容も進んでいる
青島中集環保設備ZJV5250ZYSHBZ圧縮式ゴミ収集車/CIMCグループのゴミ収集車メーカー製。GVW25t・容積20〜22㎥級。架装ベースは中国重型ZZ1257M4347C

■日本と近い韓国のゴミ収集車事情

 日本のお隣り韓国。都市化が進んでいる国のため、ゴミ収集装置は圧縮式も回転板式も使われているが、日本とは車格が微妙にズレていて、積載クラスは2.5t・3.5t・5t・9t・11tという刻み。CNG化も進められている。

AM特車・11tプレスパック/GVW27t・積載量11t・20㎥級の圧縮板式ゴミ収集車。架装ベースはヒュンダイ・ニューパワーHD270
AM特車・3.5tロールパック/GVW7.2t・積載量2.5t・4.4㎥級の回転板式ゴミ収集車。架装ベースはヒュンダイ・マイティ

■圧縮装置のないダンプ式も並行生産するタイ

 タイは、小型・中型ベースの圧縮式ゴミ収集車が主流。そのいっぽうで、掻き込み装置も圧縮装置も持たない、カマボコ型有蓋コンテナのゴミ収集車(ダンプ)も並行して生産されており、機械化が行き渡っていない様子が窺える。

ラクブア・圧縮式ゴミ収集車/3㎥級。角張った荷箱にスチフナの目立つ丈夫そうなデザイン。架装ベースはいすゞNシリーズ。中型ベースの12㎥級もあり、リアローダーを装備可
CMB・有蓋コンテナ式ゴミ収集車/側面にある複数の上下スライドドアからゴミを投入、排出時はリアの観音扉を開けて荷台をダンプする方式のゴミ収集車

■貧富の差が大きいインドではゴミ収集車にも格差が

 人口12億人、身分制度と貧富差の大きいインドは、ゴミ収集車の格差もかなりのもの。欧米流のリアローダー付き圧縮式ゴミ車もあれば、ゴミコンテナを脱着するスキップローダーは三輪車から大型車まであり、さらに塵芥ダンプも多用されている。

IPWT-HYVAリアローダー付き圧縮式ゴミ収集車/大手ゴミ収集車メーカー・IPWT社が、米ヒーヴァ社のコンパクタユニットを導入して製作した14㎥級の圧縮式ゴミ収集車
チンタマニモータース・ハイドロリックダンパープレーサー/油圧式ゴミコンテナ傾斜・脱着装置をピアッジョ・エイプ三輪車に架装したもの

■中東のイランはゴミ箱を後方から持ち上げて投入するリアローダー付きが主流

 ゴミ収集車は、1tピックアップトラック、小型・中型トラックベースのリアローダー付圧縮式が主流。シャシー・上物とも国産で、やや旧式なモデルが多かったものの、経済制裁の緩和に伴い、新しいモデルへの更新が進みそう。

ペルシアンガルフカンパニー製のミニパック11084/荷箱容積8㎥級リアローダーのより新しいモデル。種車もいすゞNPRの現地組立車だ
イラン・コンプレス製のミニパック/日産ジュニア140系を国産化したザミヤドZ28ベースの荷箱容積8㎥級リアローダー付圧縮式ゴミ収集車。ベース車よりも上物が新しくみえる

■ウジメカがゴミ収集車のシェア40%を占めるブラジル

 ブラジルではロスロカ傘下のウジメカが市場シェア40%、中南米でも35%を占める最大手で、小型から大型まで各種の圧縮式ゴミ収集車を擁している。VWやメルセデスベンツの現地専用モデルを架装ベースとする例がほとんどで、欧米車とは異質なムードが漂う。

VWコンステレーションの圧縮式ゴミ収集車/ブラジルではVWブランドの大型トラックがポピュラーだ。写真はウジメカのリアローダー付圧縮式ゴミ収集装置を架装したもの
ダマエク・モデロCP/荷箱容積10〜15㎥級の中型圧縮式ゴミ収集車。ヴェマックのブランドも展開する。架装ベースはメルセデスベンツの現地専用モデル・アトロン1319

■オーストラリアは欧米流のローダー装置付きゴミ収集車が主流

 国土の割に人口が少ないオーストラリアでは、欧米の流れを汲んだ現地製と欧米製の圧縮式ゴミ収集車が使われており、用途に応じてフロントローダー・サイドローダー・リアローダーが選択されている。特に大型は、いすゞや三菱ふそう、ボルボ、イヴェコなどをベースとした8×4車が多いのが特徴だ。

スーペリアパック・ペガサス/最大リフト容量2,000kgのフロントローダーと25〜35㎥の荷箱容積をもつ大型圧縮式ゴミ収集車。写真のいすゞFYH2000はGVW30t級である
スーペリアパック・ラプター/新開発のウェイストコンテナ・リフターをもつ中大型サイドローダー付圧縮式ゴミ収集車。制御にCAN-BUS通信を使うなど欧米のトレンドにある

■国産のほか欧米・トルコ製のゴミ収集装置が増大するロシア

 近年ロシアの欧米関係は悪化しているものの、ゴミ収集車の上物についてはロシア製に加えて、欧米・トルコ製も勢力を拡大中。主流は中〜大型圧縮式ゴミ収集車で、リアローダーまたはサイドローダー付。架装ベースは国産のKamAZやウラルやベラルーシのMAZが多い。

KOMMASh・KO-440-5U/KOMMAShはソ連時代から続くゴミ収集車メーカー。大型総輪駆動車Ural-4320を架装ベースとしたサイドローダー付圧縮式ゴミ収集車
KOMMASh・KO-440K20/ロシア国産メーカーのリアローダー付圧縮式ゴミ収集車の新型。GVW25.2t・積載量10.4t・荷箱容積20㎥。架装ベースはKamAZ-65115

■トラック製造で世界的シェアを拡大させるトルコのゴミ収集車

 欧州向けバス・特装車の生産拠点を目指しているトルコ。ゴミ収集車も欧州スタイルで、1t未満の小型トラックから2軸セミトレーラまで多彩なモデルを生産、旧ソ連諸国などへ輸出もされている。

フォード・オートサン1832DC/トルコ国産GVW18tゴミ収集車用ベースシャシー。キャブはイタリア・ギアのデザイン
カトマチラーの圧縮式ゴミ収集車/4.5〜8㎥、9〜24㎥の各クラスを設定。写真はフォード1832DCに架装したもので、恐らく12㎥級。リアローダーも装備している

投稿 こんにちは こんにちは 世界の国から~誰も見たことのないゴミ収集車が大集合!!自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。