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「ファッションは足元から」という言葉があるように、クルマにとっても足元のドレスアップは重要なポイントだ。ホイールを社外品に交換することで全体の雰囲気がガラリと変わり、クルマを買い替えたかのような新鮮な気持ちになることもできる。

 それゆえに、夏タイヤのみで何種類もタイヤと社外ホイールのセットを所有し、気分によって付け替えるツワモノもいるが、メーカー純正品となると事情は少々異なる。なぜなら、メーカー純正品は車種によっては同じデザインのものを使いまわしていることが結構あり、ホイールキャップを含めるとその数は意外と多い。

文/小鮒康一、写真/スズキ、日産

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低価格車づくりのノウハウ炸裂!! ワゴンRのホイールが新型アルトで復活


ハイブリッド仕様をラインナップしながらも、低価格路線は継続している9代目アルト。上級グレードはアルミホイールが標準装備となる

 昨年12月に9代目へとフルモデルチェンジを果たしたアルト。先代のキリっとした顔つきから柔和な癒し系フェイスとなっただけでなく、ハイブリッドモデルの追加や熟成されたプラットフォームなども相まって高い評価を集めている。

 その一方で最も安価なグレードでは税抜85万8000円という低価格をキープしてくれている点も、日常の足グルマとしてはうれしいポイントと言えるだろう。中間グレードに用意されるホイールキャップは新規デザインとなっているのだが、上級グレードに標準装備されているアルミホイールは、5代目ワゴンRに設定されていたものと同じ。

 


先代ワゴンRに採用されていたものが新型アルトに流用された。ちなみに現行ワゴンRにも同じものが採用されている

 ちなみにこのアルミホイールは6代目ワゴンRでも継続採用されているため、街中で見かける機会も多いモデルと言えるだろう。

これは気づかなかった! 初代スイスポのホイールが先代ワークスに

スポーティな10本スポークデザインだが、実は10年ぶりに復活したホイールだ

 アルトワークスの設定は今のところ考えていないというメーカーの発言を受けて、にわかに注目が集まっている8代目アルトワークス(先代)。このアルトワークスには、ブラックに塗装された10本スポークのいかにもスポーツホイールといったものが装着されているが、実はこれ、初代スイフトスポーツに装着されていたものの色違い(スイフトスポーツはホワイト)なのだ。


2003年にリリースされた初代スイフトスポーツに装着されていた純正ホイールがアルトワークスに流用されていた

 ちなみに当時のスイフトスポーツのオプションカタログにはアルトワークスと同じブラックカラーの同デザインのホイールが掲載されており、アルトワークスのオプションカタログにはスイフトスポーツと同じホワイトのものが掲載されていた。

レパートリー増殖なう!? EVの現行リーフ用ホイールがSUVのキックスに


電気自動車らしく先進的なデザインを採用したリーフの17インチアルミホイール

 日産の電気自動車として知られるリーフ。現在販売されているのは2代目モデルとなり、バッテリー性能が大きく向上。航続距離が伸びたほか、NISMOやAUTECHといった派生車種もリリースされるなど、日産のイメージを牽引する1台として活躍中だ。

 そんなリーフの上級グレードに装着されている17インチアルミホイールが、2020年から日本で販売がスタートしたe-POWER専売のクロスオーバーSUVであるキックスに流用されている。

SUVではあるものの、モーター駆動のe-POWER専売車ということもあり、違和感は皆無だ

初代リーフに途中で追加された廉価モデルは、スチールホイールにキャップというスタイルになっていたが、このキャップはキックスの実質的な先代モデルであるジュークが装着していたものを使用しており、リーフと小型SUVの関係は2世代に渡って続いているということになる。

日産のコストダウンの象徴!? ホイールキャップの流用キングはこれ


3代目セレナがマイナーチェンジしたタイミングで新デザインのホイールキャップが登場

 もっとも多くの車種に流用されていると思われるのが、日産の15インチスチールホイールに装着されるホイールキャップ である。

 初出しは恐らく2007年12月に行われた3代目セレナのマイナーチェンジ時。2010年に登場した4代目セレナにも継続採用されていたのだが、それだけにとどまらず2009年にはラフェスタの一部改良のタイミングで採用。さらに2010年9月にはセドリック営業車が全車15インチタイヤとなったタイミングで採用されている。

 2012年6月には11年ぶりのフルモデルチェンジを果たしたE26型のNV350キャラバンにも装着され、これは先日ガソリンエンジンモデルが「キャラバン」に名前を戻した現在でも使われている。さらに2012年12月に登場した3代目となるシルフィにも採用されてセダンからミニバン、ワンボックスカーまで幅広い車種に装着されたホイールキャップということになるのだ。


タクシーとして使われることが多かったセドリックだが、2014年終売ということで見かける機会も減りつつある

 アルミホイールを他車種と共用する際は、ホール数やオフセットに制限が出てきてしまうが、ホイールキャップであればインチ数とフェイス部の飛び出し、そしてリムの形状さえ問題なければ車種を問わずに装着できるという点も多くの車種に流用されている要因と言える。

 ぶっちゃけて言ってしまえば、ホイールの流用はコストの面が最も大きな理由であることは間違いないだろうが、いろいろな車種に装着しても違和感のないプレーンなデザインとなっているとも言えるわけで、皆さんも純正ホイールを流用する際の参考にしてみてはいかがだろうか。当然ながら、自動車メーカーは流用の事実を公表していないので、独自に調べる必要があるが、それもまた一興だ。

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