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 4月2日、MotoGP第3戦アルゼンチンGPの予選がテルマス・デ・リオ・オンドで行われ、MotoGPクラスはアレイシ・エスパルガロ(アプリリア・レーシング)がポールポジションを獲得した。欠場が発表されていた中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)はPCR検査の結果が陰性となったことを受け、アルゼンチンGPに参戦し、10番手を獲得している。

 新型コロナウイルス感染症の影響によって2020年、2021年が中止となり、2019年以来3年ぶりの開催となったアルゼンチンGPは、前戦の開催地であったインドネシアからアルゼンチンへの機材の輸送中、一部の輸送機にトラブルが発生し、セッションが始まる金曜日までに一部の機材がサーキットに到着できない状況となったことから、金曜日の全セッションがキャンセルとなった。このため、アルゼンチンGPは土曜日にMotoGPクラス、Moto2クラス、Moto3クラスの全クラスでフリー走行1回目、2回目、予選が行われるスケジュールに変更された。

 また、今大会直前、中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)がPCR検査の結果が陽性だったとして欠場が発表されていたが、再検査の結果、陰性が確認されたことにともない、アルゼンチンGPに参戦している。

 一方、前戦インドネシアGPのウオームアップ・セッションで激しいハイサイドを喫し、この影響で複視を再発したマルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)はインドネシアGPの決勝レースに続き今大会を欠場し、ステファン・ブラドルが代役として参戦する。

■フリー走行:アプリリアが総合1番手と2番手

 フリー走行1回目は気温22度、路面温度34度のドライコンディション。上述の機材到着の遅れにより今大会は2日間のレースウィークとなり、フリー走行3回目と4回目が行われないため、MotoGPクラスのフリー走行1回目と2回目は各60分にセッションの時間を拡大して行われた。

 序盤、中上がトップタイムを記録。その後、開始20分を過ぎてファビオ・クアルタラロ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)が中上のタイムを更新してトップに浮上する。開始30分を過ぎたセッション中盤に入ると、アレイシ・エスパルガロ(アプリリア・レーシング)がトップタイムをマークした。

 残り時間10分を切って、中上がトップに浮上するも、再びそのタイムをクアルタラロが更新した。しかし、タイムアタックの時間に入ったことで各ライダーが続々とタイムを更新する中、中上が残り時間1分で1分39秒028を記録し、クアルタラロのタイムを上回ってトップに立った。

 中上はこのままフリー走行1回目を制し、トップでアルゼンチンGP最初のセッションを終えた。2番手はクアルタラロ、3番手にはポル・エスパルガロ(レプソル・ホンダ・チーム)が続いている。4番手はアレイシ・エスパルガロ(アプリリア・レーシング)、5番手にはルーキーのマルコ・ベゼッチ(ムーニーVR46レーシング・チーム)が入った。

 フリー走行2回目はMoto3クラス、Moto2クラスの予選後にスタート。気温は27度ながら、路面温度は43度にまで上昇した。今大会は2回のフリー走行の総合結果によって、予選のQ1とQ2が決まる。つまり、Q2へのダイレクト進出を果たすためには、フリー走行2回目で総合10番手以内に入る必要がある。

 序盤、アレイシ・エスパルガロがトップに立ち、2番手にベゼッチ、3番手にホルヘ・マルティン(プラマック・レーシング)が続く。開始20分には2番手にマーベリック・ビニャーレス(アプリリア・レーシング)が浮上し、アプリリアのふたりがトップ2につけた。

 残り時間が25分になったころ、走行中のブラッド・ビンダー(レッドブルKTMファクトリー・レーシング)のマシンから白煙が上がった。ビンダーはすぐにスローダウンしてコースサイドの壁にマシンを立てかけると、走ってピットに戻った。幸いコース状況に影響はなかったようで、セッションは続行されている。

 アレイシ・エスパルガロは終盤に入ってもトップを維持し、1分38秒244のトップタイムでフリー走行2回目を制した。2番手はビニャーレス。3番手はジャック・ミラー(ドゥカティ・レノボ・チーム)、4番手はクアルタラロ、5番手はマシントラブルに見舞われたビンダー。中上は終盤にアタックを行い自己ベストを更新したが、総合13番手だった。

■予選はアプリリアのA.エスパルガロがポール獲得


 フリー走行2回目に続いて行われた予選のQ1は、中上、ミゲール・オリベイラ(レッドブルKTMファクトリー・レーシング)、エネア・バスティアニーニ(グレシーニ・レーシングMotoGP)、フランセスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)、ポル・エスパルガロなどによって争われた。

 序盤、中上が1分38秒913を記録してトップに立ち、2番手には0.014秒差でバスティアニーニが続く。バニャイアは序盤のアタックでタイムを全く詰めることができず、3周を終えるといち早くピットに戻った。

 再びコースインしたバニャイアは、残り時間4分でトップタイムをマーク。しかし中上、さらにポル・エスパルガロが自己ベストを更新し、ポル・エスパルガロがトップで残り時間2分となった。

 トップのポル・エスパルガロと2番手の中上はポジションをキープし、ホンダのふたりがQ2進出を決めた。3番手はバスティアニーニ、4番手はバニャイア。また、前戦ウィナーのオリベイラは6番手で、Q1で予選を終えた。

 Q2がスタートすると、フリー走行2回目を2番手で終えていたビニャーレスがまずトップに立つ。しかしそのタイムをマルティン、ミラー、さらにアレイシ・エスパルガロが更新。前半のアタックを終えて、アレイシ・エスパルガロがトップ、マルティンが2番手、クアルタラロが3番手につけた。ミラーは2番手のタイムを記録した直後に、1コーナーでスリップダウン。1コーナーはフリー走行から転倒が相次いでいたコーナーで、レミー・ガードナー(テック3・KTM・ファクトリーレーシング)やポル・エスパルガロ、ダーリン・ビンダー(WithUヤマハRNF・MotoGPチーム)、ベゼッチなどがここでクラッシュしている。

 残り時間が5分を切り、終盤のアタックの時間帯に入ると、マルティンが1分37秒839を叩き出してトップに浮上する。しかしそのタイムをアレイシ・エスパルガロが0.151秒更新。アレイシ・エスパルガロが再びトップに立った。

 アレイシ・エスパルガロはそのとき記録した1分37秒688でポールポジションを獲得。アレイシ・エスパルガロにとって2015年カタルーニャGP以来、アプリリアにとってはロードレース世界選手権の最高峰クラスがMotoGPと呼ばれるようになって以降、初のポールポジション獲得となった。

 2番手はマルティン、3番手はルカ・マリーニ(ムーニー・VR46・レーシングチーム)が獲得している。4番手はポル・エスパルガロ、アレイシ・エスパルガロのチームメイトであるビニャーレスは5番手だった。

 クアルタラロは6番手。終盤のアタックで、ミラーと交錯しかけており、これについては審議の対象となっている。そのミラーは11番手。Q1を突破してQ2に挑んだ中上は10番手だった。