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騙(だま)し合い 四 と、家来がきて、「殿、江良房栄(えらふさひで)殿から文(ふみ)が参っております」小さな困惑が、隆兼(たかかね)の相貌(そうぼう)に漂う。先刻、房栄と対面した折、毛利との戦(いくさ)に燃やす闘志に、水をかけられた気がしたのだ。今は亡き父の友であった房栄から同じ熱量の言葉を期…