2022年1月にスクープした新型スーパーカブ110の続報をキャッチ。3月に発売され、価格は歴代初の30万円超になる模様だ。
庶民の足として控えめな価格がウリだったが、キャストホイールとABSが投入され、ついに大台を突破。趣味のバイクへと舵を切るだろう。兄弟車のクロスカブ110とともに、その詳細を大予想しよう!
歴代の価格も調査し、今回の値上げについても考察してみた。
文/ベストカーWeb編集部、CG/SHINGRAPHIC、写真/HONDA
【画像ギャラリー】新型クロスカブ110は2ポットキャリパー装備で価格も30万円台後半に!?(16枚)画像ギャラリー2.2万円アップ、されど内容を考えればオツリが来る!?
値上がりが少なく、長年一定の価格を保ち続ける卵は「物価の優等生」と言われる。バイクにおいて、ホンダのスーパーカブはまさに物価の優等生。1958年の初代スーパーカブC100(49cc)以来、購入しやすい価格を維持してきた。
ところが近頃は様相が違っていた。現在、ベーシックなカブは50ccと110ccがあり、50は23万6500円、110は28万500円と同排気量帯のスクーターより4~6万円高い。
これはカブの役割が“趣味のバイク”にシフトしてきたことが主な理由だろう。元々、カブは出前や配達などビジネス用途としての人気を博したが、役割が時代とともに変化。趣味としてのFUN要素が高まり、質感や装備の向上により価格が上昇していたのだ。
当WEBがつかんだ情報によると、新型スーパーカブ110は、よりホビー向けに生まれ変わり、予想価格は従来型から2万2000円アップの30万2500円。兄弟車でアウトドア向けの装備を与えたクロスカブ110は2万1000円アップの36万3000円と予想したい。
スーパーカブ110はスタンダードシリーズのカブとしては歴代初の税込30万円台となる模様。しかし変更点を考えれば、“よくぞここまで価格を抑えた”と言えるのだ。
これまで前後ドラムだったブレーキは、フロントを油圧ディスクに変更するだろう。さらに前輪にABSを新採用するはずだ。リヤはドラムのままで、ABSはフロントのみ作動する1チャンネル式と思われる。
ホイールはワイヤースポークから前後キャストに。情報筋によると「Y字スポークのキャスト」を履くとの噂で、恐らく上級モデルであるスーパーカブC125のホイールと共通品と思われる。なお、C125のホイールは手の込んだ切削加工を施すが、新型110はコストを考慮し、塗装仕上げとなるようだ。
キャストホイール化によってタイヤがチューブレスになったのは朗報。これまでのチューブタイヤはパンクすると途端に空気が抜けてしまい、修理も大変だった。しかしチューブレス化によってパンクしても空気がすぐに抜けず、出先でも対応が簡単になる。
従来のドラムブレーキ+ワイヤースポークホイールという昭和レトロなメカが生み出すマイルドな乗り味に対し、新型はよりシャキッとした走りになるのは確実。これに関しては賛否両論ありそうだ。
クロスカブは2ポットキャリパーで足元を固める!?
兄弟車のクロスカブ110も同様のモデルチェンジを受けるが、なんとブレーキを差別化する模様。スーパーカブ110がフロント1ポットキャリパーなのに対し、クロスカブはタフな走りを考慮して2ポットになるだろう。
なお従来のクロスカブはブレーキレバーを固定するロック機構を採用していたが、今回のモデルチェンジに伴い廃止。また、ホイールはマットブラック塗装になり、精悍さがアップするらしい。
車体色はスーパーカブ110が5色。現行と同様の青、黄色、白、ベージュ、緑がラインナップされると予想する。現行型に存在する紺は設定されないだろう。
一方、クロスカブ110は4色設定。ニューカラーのツヤ消し緑、GB350Sと同様のパールディープマッドグレーのほか、台数限定だったブコブルーを通常色に設定する。さらにくまモンバージョンの黒が継続されるようだ。
新設計エンジンで最大トルクも燃費もアップする!?
エンジンは、既にタイで発売されている新型スーパーカブ(110cc)譲りの新設計ユニットを搭載。ロングストローク化と圧縮比の向上、低フリクション技術を組み合わせ、令和2年排ガス規制に対応するだろう。
最大トルクは、0.87kg-m(8.5Nm)→0.9kg-m(8.8Nm)にアップする模様。それでいて燃費は67.0→67.9km/L(WMTCモード)に向上するようだ。
なおキックスターターは継続され、踏みやすさに配慮したラバー付アームになるらしい。
正式発表は3月中旬、月内にも発売開始となる見込みだ。
カブ64年分の価格変動をまとめてわかったこと
歴代スーパーカブ90/110の価格を調べて表にまとめてみた。50ccと大排気量版の2本立ては1960年代から現代まで続いており、兄貴分は2008年まで90、それ以降は110となっている。
1970~1980年代のカブは大卒初任給から+2万円程度の価格で推移し、1990年代に入ると大卒初任給より安い価格設定に。そして2000年以降はカブが初任給を逆転し、初任給はほぼ横ばいとなっている。
特に大幅な上昇となったのが2009年型の6万円増で、ついに20万円台を突破した。これは厳しい排ガス規制に対応した結果。燃料供給システムをキャブレターからFIに変更するなど新設計エンジンを採用した影響が大きく、やむを得ない一面がある
一方、2012年には驚くべきことに2万1000円の値下げを断行。生産を日本から中国に移管したことで実現した。だが、デザインの不評と現地の人件費高騰などの理由から、2017年に再び日本生産に。価格は約5万円アップしている。
価格が安定していた1990年代以前に比べ、この20年は価格の変動が激しい。それでも今回のモデルチェンジで約2万円増に抑えると思われるのはアッパレと言えるだろう。
スーパーカブはライダーの声に応じて進化してきた
「人の生活や楽しみが変化する時、カブの進化は必ずある」と、スーパーカブC125の開発責任者が2018年の発表会で語った。カブは日本のみならず、東南アジアなど世界のニーズが反映され、進化してきたモデル。それゆえ常に圧倒的な支持を受け、累計総生産1億台という前人未踏の大記録を樹立できたのだ。
そして近年はカブに趣味性を求めるライダーが増えている。2018年にはシリーズ最大排気量で豪華仕様のスーパーカブC125、2020年にはオフロード性能を高めたCT125ハンターカブというFUN領域のカブシリーズが生まれ、いずれもヒットを飛ばした。
スーパーカブ110は、カブ本来のコミューター領域と、趣味のFUN領域のどちらにも対応できるのが特色だった。この両面を併せ持つのがカブの真髄だが、カブに趣味性を求めるライダーの要請が高まった結果、よりFUN寄りなモデルチェンジに踏み切ったのだろう。
ちなみにスーパーカブ50の新型は小変更に留まる模様。50cc未満のバイクは排ガス規制のリミットが2025年11月まである。また、ブレーキ規制も対象外となる。
しかし、こちらも時代の要請に応じて“電動化”など劇的な変化が訪れるかしれない。いずれにせよホンダのシンボルであるカブは、コミューターとFUNという真髄を守りながら、時代とともに進化を重ね、走り続けるはずだ。
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