ロシアのウクライナ侵攻を巡り、国連は2月28日午前(日本時間1日午前0時過ぎ)から緊急特別会合を開催した。緊急特別会合が開かれるのは11回目で、安全保障理事会(安保理)の求めで開かれるのはイスラエルによるゴラン高原併合が行われた1982年以来、40年ぶり。
常任理事国の一つであるロシアの拒否権によって、意見を一致させられないことを受けて安保理が開催を要請していた。安保理決議と異なり、総会決議には法的拘束力はないが、ロシアへの非難決議が採択されれば国際社会の総意としての大きな意味合いを持つ。何カ国がロシアへの非難決議に賛成するかが世界的な注目を浴びている。
NHKへ寄せられる失望の声
そんな中、日本のテレビ局、特にNHKが国民から失望されている。NHKは後に短時間のディレイ放送はしているものの、歴史的なこの会合を生中継していたかった。ツイッターでも次のような声が溢れている。
国連総会の中継をYouTubeで観ている。この重要なときに中継も情報翻訳提供もしないNHKはあらためてクソほどの存在意義もないと実感した。
第三次世界大戦にもなりかねない状況なのに、なんでNHKはロシアのウクライナ侵攻を常時流さないんだ?スポンサーありきの民放と違って公共放送なんだから放送予定変えられない理由ないだろ。国連総会の中継切ってSONGS流す意味がわからん。
国連総会緊急特別会合を、YouTubeで、生放送の追いかけ再生で見ることになるとは。NHK、中継していないらしいな。なんかこわい力でも働いてんのか?
国連総会を中継しないなら受信料とるのやめてください。
NHK 、頼むから24時間ウクライナ情勢を聞かせて欲しい。各国のニュースの紹介や分析。日本の隣国が犯した犯罪とその成り行きをせめて時事刻々伝えるだけでもして欲しい。
イスラム教圏の研究で名高い、同志社大学教授の内藤正典氏もツイッターで次のように嘆いた。
国連ウクライナ侵攻の特別総会が始まった。グテーレス事務総長のスピーチ。日本のテレビは…どこも流していない。日本の隣国でもあるロシアが西の隣国ウクライナを侵略している最中なのに。少なくとも公共放送として受信料を取ってるNHKは、この問題を一日に数時間でもいいから流さないのか?
国連ウクライナ侵攻の特別総会が始まった。グテーレス事務総長のスピーチ。日本のテレビは…どこも流していない。日本の隣国でもあるロシアが西の隣国ウクライナを侵略している最中なのに。少なくとも公共放送として受信料を取ってるNHKは、この問題を一日に数時間でもいいから流さないのか?
— masanorinaito (@masanorinaito) February 28, 2022
BBCは日本語同時通訳付きの生中継
民放はもちろん、NHKも海外メディアのように1日中ウクライナ情勢を放映し続けるという体制を取っていない。時差の関係で事態が大きく動く日本時間深夜にNHKが流している番組の多くは、再放送番組だ。
NHKは世界31カ国に取材拠点を持ち、地上波だけで「総合テレビ」と「Eテレ」の2つのチャンネルを有している。北京冬季オリンピックでチャンネル切り替えのタイミングで物議を醸した、サブチャンネルだって使えるはずだ。最新版の財務諸表によると、NHKは企業の内部留保に相当する「繰越剰余金」は、約2000億円にも達する。チャンネル数的にも財政的にも、NHKが国連緊急特別会合を生中継できないとは考え難い。
NHKがお手本にしてるという英国公共放送・BBCが、国連緊急特別会合の様子を日本語同時通訳付きで配信し続けた中、NHKはどこで自らの存在感を日本国民に示すのか。これまでは事件や事故、天災等が起こった時には日本人の多くは「まずNHK」という人が多かったはずだ。
しかし、このままでは国内はともかく国際的な事件の場合、「まずBBC、CNN」と視聴者がスイッチする可能性も強まりそうだ。
折しも、ドン・キホーテが発売したNHKが映らず、受信料を必要としないテレビが爆発的に売れる中、国民のニーズを満たしているとは言い難いNHKをはじめとした地上波放送離れはますます進んでしまうのではないだろうか。