ビットコインをはじめとした暗号資産がここ数日、急騰している。25日の段階で約443万円だったビットコイン価格は、3月1日には約500万円の値を付けた。過去5日間の値上がり幅は13.07%に上る。ほかの暗号資産も同様で、イーサリアムの過去5日間の値上がり幅は13.54%、バイナンスコインも過去5日間で9.72%値上がりしている。
背景には、ロシア人の「爆買い」があると見られている。ロシアはウクライナ侵攻を行ったことで、アメリカやEUをはじめ、主に西側諸国からさまざまな経済制裁を受けている。2月27日には、西側諸国は国際銀行間通信協会(SWIFT)からロシアを排除する決定を下していた。SWIFTからの排除は最も厳しい経済制裁として知られており、「金融制裁の核兵器」と言われている。
経済制裁の影響は大きく、対ドルのルーブル価格は大暴落し、史上最安値を更新している。通貨安に伴う急速なインフレを抑えるためとして、ロシア中央銀行は政策金利を従来の9.5%から20.0%と2倍以上に引き上げた。国際通信社「BNO news」によれば、ロシア政府は企業と個人に対して外貨の80%を売却し、ルーブルを買い支えることを指示したという。
こうした中、ロシア経済デフォルトの危機感を覚えたロシア人が、相次いでロシア通貨のルーブルをビットコインなどの暗号資産に変えていると見られている。ロシア人の暗号資産「爆買い」について、「伝説のトレーダー」と呼ばれた経済評論家で元参議院議員の藤巻健史氏は、自身のツイッターで「次男からlineが来た」とし、その内容を紹介した。
1月にロシアで暗号資産が禁止されそうだという大きなニュース覚えているよね。それが2月8日にやっぱり禁止しない可能性が高いとなった。今考えると2/8の時点で、ロシアはウクライナ侵攻を決め、それに伴うSWIFT禁止を予想し、暗号資産を送金手段として残す選択をしたのかも
次男からlineが来た。[1月にロシアで暗号資産が禁止されそうだという大きなニュース覚えているよね。それが2月8日にやっぱり禁止しない可能性が高いとなった。今考えると2/8の時点で、ロシアはウクライナ侵攻を決め、それに伴うSWIFT禁止を予想し、暗号資産を送金手段として残す選択をしたのかも(続)
— 藤巻健史 (@fujimaki_takesi) February 28, 2022
ロシア中央銀行は1月20日、金融システムを不安定にする恐れがあるとしてロシア国内でのビットコインなどの暗号資産の禁止を提案している。ロシア中央銀行が発表したリポートによると、暗号資産のロシア人の利用が増えており、昨年の時点で年間の取引額が50億ドル(約5700億円)に上る資産もあるという。
このリポートを基にロシア政府は暗号資産を禁止する法改正を進めていくと見られていたが、2月8日に一転して、暗号資産を含むデジタル資産について通貨の一つとして認める方針を示していた。2月18日には、大手暗号資産取引所のバイナンスがロシア銀行協会に加盟している。
藤巻氏は次男の考えを「お、鋭い指摘かもしれない」としたうえで、日本がこの先、デフォルトの危機に見舞われた際に、暗号資産は「避難通貨として重要な存在となるだろう」との見方を示した。
「有事の金」という言葉があるが、これからの時代、「有事のビットコイン」なのかもしれない。