「市瀬さん、これ持って帰って」。焼き肉屋でのバイトを終え、帰ろうとしていた私はその声に足を止めた。マスターが冷蔵庫から何か出してきた。いつもマスターがおやつに食べている、食パン形のレーズンパンだった。 私は一瞬硬直したが、「1人暮らしにはありがたいことで、うれしいです」と受け取り、…
「市瀬さん、これ持って帰って」。焼き肉屋でのバイトを終え、帰ろうとしていた私はその声に足を止めた。マスターが冷蔵庫から何か出してきた。いつもマスターがおやつに食べている、食パン形のレーズンパンだった。 私は一瞬硬直したが、「1人暮らしにはありがたいことで、うれしいです」と受け取り、…