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 2000年代に入って高速道路には大きな変化の時を迎えている。例えば新東名の開通、圏央道の開通などだ。まだ完全開通ではないものの、渋滞区間が減るなど交通には大きな影響を与えている。

 ただし、いいことばかりではない。その代表的なものが、首都高速の値上げ、そしてETCの問題だ。ユーザーに負担がかかるこれらの問題点を解説しよう。

文/藤田竜太、写真/ベストカー編集部、AdobeStock(トップ写真=faula@AdobeStock)

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■これが2022年『高速道路の変』だ

 2022年は高速道路に関して、3つの大きな変化が予定されている。その3つを今のうちに整理しておこう。

●首都高速の値上げ

 2021年12月10日、首都高速道路から、通行料金を2022年4月1日に改定すると発表があった。現在の普通車(ETC)の上限は1320円となっているが、これを1950円に値上げするとのこと。

 首都高速の料金は2016年に従来の均一制から対距離制に移行、このとき実質的に大幅に値上げしたばかり。

 このとき上限が1320円になったのは、激変緩和措置といわれていたが、この最大1320円だって利用者にとってはかなり負担の大きい額なのは間違いない。にもかかわらず、なぜこのタイミングで再び大幅な値上げを実施するのか。

 首都高速道路の資料によると下記の通りだ。

・現在、料金距離35.7km超のご利用については上限料金(普通車1,320円)を設定していることから、ご利用が長距離になるほど1kmあたりの料金が割安になるため、都心部通過の際に首都高速道路が選択され、都心部に渋滞が発生しています。

・そこで、都心部の通過交通をこれまで以上に抑制する必要があることを踏まえ、より公平な料金体系の更なる前進に向けて、新たな上限料金を設定します。

・料金距離35.7km超をご利用のETC車は、急激な負担増を避けるため、新たな上限料金(普通車1,950円、料金距離55.0km超)を設定します。

・現金車は、一部の区間を除いて1,950円(普通車)お支払いいただきます。

 料金が割安になるので、都市部を通過する車両に首都高が選ばれ、都市部に渋滞が発生するというのなら、圏央道や外環の料金を値下げすればいいと思うのだが……。圏央道の大半はいわゆる高速道路ではなく、一般国道の自動車専用道路=一般有料道路なので、普通の高速道路より通行料金が約2割も高い!

 物流を支える車の負担が急激に増加しないよう、大口・多頻度割引を更に拡充するとか、比較的交通量の少ない深夜帯の利用を促進するため、深夜割引(0時~4時 20%引き ETCのみ)を新たに導入することにもなっているが、この値上げは痛い。

 日本人の平均月収(給与)は直近30年間で減少し続け、1997年から2013年までの15年間で15%も減少。現在の実質賃金は1990年の88%程度といわれていることを考えると、この値上げは納得できない。

■ETC化をさらに推進

●高速道路の料金所がETC専用化

首都高でのETC利用率は9割を超えているが、料金所のETC専用化によってさらに押し進めようというわけだ(MP_P@AdobeStock)

 2020年12月17日 国土交通省及び高速道路会社6社は、ETC専用化ロードマップを公表。これによると、都市部においては、5年後の概成を目標に計画的に料金所をETC専用化を推進することになっている。

 具体的には、2022年4月1日から首都高速の東京・埼玉・神奈川の34箇所(うち5箇所は3月から)の料金所がETC専用となり、NEXCO東日本も外環道の2か所、NEXCO中日本も中央道と圏央道で3か所、それぞれ料金所をETC専用になる。

 こうしたETC専用の料金所では、ETC車載器を搭載していない車両が通行できなくなるので要注意。

 これまで現金車が利用していた「一般」レーンは廃止され、代わりに「サポート」または「ETC/サポート」と表示されるレーンが用意されるとのこと。

 首都高では、ETC無線通行ができない状態(ETC車載器未搭載等)で誤ってETC専用の入口に進入した場合は、この「サポート」または「ETC/サポート」と表示されたレーンで一旦停車し、係員の指示に従うようにと説明している。

 ただし、これまでと違い、サポートレーンでも、現金で通行料金を支払うことができるわけではなく、後払い精算の方法を教わることになるらしい。

 2021年9月現在、首都高でのETC利用率は96.7%なので、ETC専用レーンになっても影響は小さいのかもしれないが……。

 なお、首都高速ではETC専用の料金所の拡充に合わせて、ETC車載器購入助成キャンペーンを実施することが決まっている(詳細は後日発表)。

 今後は、首都高以外でもETC専用レーンが広がっていく可能性が大きいので、絶対に高速道路には乗らないという車両以外は、これらのキャンペーンを活用し、ETCの導入を検討した方がいいかもしれない。

■ETCの2022年・2030年問題

●2022年12月1日から一部のETC車載器が使用できなくなる

旧規格のETC車載器が使えなくなる2022年問題にくわえて、セキュリティ規格の変更による2030年問題もある(Paylessimages@AdobeStock)

 最後は「ETCの2022年問題」。

 「ETCの2022年問題」とは、電波法の一部改正の影響で旧規格のETC車載器が、2022年12月1日以降使えなくなるというもの。

 現行の規格は2005年12月から適用され、2年の経過措置期間を経て2007年12月に全面適用となったもの。このとき、旧規格で認証を受けたETCも2022年11月末までは使用できる猶予期限が設けられたが、その期限があと1年で切れてしまう。

 とはいえ、2007年以前に発売されたETC車載器であっても、そのほとんどは現行の電波法に対応したもので、2002年11月以降に発売された機種なら基本的にはセーフとなるはず。

 国土交通省では「2007年以前のETC車載器については、個別にメーカーへ問い合わせを」とアナウンスしているので、古いETC車載器を利用している人は、今のうちにメーカーに確認しておいた方がいいだろう。

 さらにETCに関しては、「2030年問題」もある。これはセキュリティ規格の変更によるもので、遅くとも2030年には旧セキュリティ規格のETC車載器が使えなくなるというもの。

 ETCに重大なセキュリティ問題が発生した場合は、2030年よりも計画が前倒しに実施される可能性もあるので、旧規格のETCユーザーはチェックが必要。

 ETCの取扱説明書や保証書に記載されている19ケタの車載器管理番号の最初の数字が「1」なら新規格をクリア。最初の数字が「0」の場合は旧規格製品なので、2030年問題に引っかかる。早めの対応を考えておこう。

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