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玄人にはたまらない!? マニアックすぎない”プチマニアック”なイロモノたち

 日本の自動車史を振り返ると「こんなクルマがあったんだ」と唸らずにはいられないモデルは数知れず。枚挙に暇がないほどバラエティに富んでいたことは言うに及ばないが、ここではマニアックすぎず普通じゃない、まだ記憶に新しい1990年以降に発売されたプチマニアックなモデルを紹介。プチマニアックといえども没個性が叫ばれる今、これらのモデルが発売されたらヒットすること間違いナシなんだろうけれど……果たして、皆さんの記憶に残る一台はどれ?

文/FK、写真/スズキ、ダイハツ、トヨタ、三菱、FavCars.com

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空飛ぶ子犬ことパジェロ ジュニア フライング パグのレトロな見た目にぞっこん!?

玄人にはたまらない!? マニアックすぎない”プチマニアック”なイロモノたち
ほっこり犬顔がマニア心をくすぐる! 言われてみればたしかにパジェロ ジュニアっぽい。バブル期に一世を風靡したパイクカーを彷彿とさせる。個性的でなかなかのお買い得車だったものの、セールス的にはイマイチだった

 三菱自動車の販売チャンネルのひとつであったカープラザの20周年を記念した特別限定特装車として、1997年9月に発売されたパジェロ ジュニア フライング パグ。

 その特徴はパジェロ ジュニアをクラシカルにドレスアップしたネオレトロなエクステリアでフロントグリル、フロントフード、前後バンパー、前後オーバーフェンダー、サイドステップ、サイドモール、ドアガーニッシュ、リアコンビネーションランプ、デカール、サンバイザー、テールランプベゼルなどをすべて新作とする力の入れようだった。

 ボディカラーはアーマーチャコールグレー、サンチャゴレッド、フェアリーホワイトの3色展開で、内装も木目調インストルメントパネル、ブラック内装、プロテインレザーシートが標準で装備されていた。発売当時の車両本体価格は5MT車が175万円、3AT車が185万円に設定されていたが、現在の中古車市場では100万円もあれば購入でき、拍子抜けするほどリーズナブル!? 1000台限定の希少なモデルであること考えれば、お買い得が高いかもしれない。

小型SUVのX-90はアウトドアブームに沸く今こそ復活希望!

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小型クロスオーバーSUVというカテゴリーがまだメジャーではなかった時代に登場したX-90。カプチーノとほぼ同時期に発売されていた。ベースは初代エスクードの3ドアモデル

 1993年に開催された第30回東京モーターショーに参考出品したコンセプトカーをベースに量産化した小型SUVモデルとして1995年10月に登場。

 3BOXボディとオープン2シーターレイアウト、脱着可能なガラスルーフをもつTバールーフ構造などによって見る楽しさ、乗る楽しさ、運転する楽しさを追求したX-90はイマドキのクルマにはない個性を存分に発揮した。エンジンはオンロードでは伸びやかに、オフロードでは粘り強くといったように多彩なシーンでバランスよく使いこなせる1.6リッター直列4気筒SOHC 16バルブエンジンを採用。オールアルミ製とすることで軽量化も実現している。

 また、スポーティな操縦感覚が楽しめるFRをベースとしながらも、悪路走破性に有利なトランスファー機構(副変速機)付きの4輪駆動を採用したことで乗り手の自由を妨げることなく、さまざまなシーンで走りを味わい尽くす歓びも提供。マニア受けしそうな個性際立ちまくりの異端児的なSUVは、その個性が逆に仇となってセールスが伸び悩み、1998年12月をもって生産が終了となった。

ビークロスの近未来的なフォルムは模型としての素質も抜群だった!?

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ボディの下半分を無塗装のポリプロピレン樹脂パネルにするなど、エクステリアデザインの斬新さが話題になった

 1993年の第30回東京モーターショーにコンセプトカーとして出品後、プロトタイプの大胆なデザインを忠実に再現しただけでなく、高い動力性能との融合を実現して1997年3月に量産化が発表されたビークロス。

 同車が属するカテゴリーは、今隆盛を極めているクロスオーバーSUVで“Vehicle”、“Vision”、“Cross”を3つの単語を組み合わせた造語が車名の由来となっている。その最たる特徴は誰が見てもそれとわかる独創的なエクステリアデザイン。

 利便性の高さが求められるSUVでありながら3ドアを採用したショートボディは曲線を基調にした斬新なもので、SUVテイスト溢れるオーバーフェンダーを兼ねたクラディングパネルとの組み合わせは圧倒的な存在感を発揮。その近未来的なフォルムが奏功したのか、当時はタミヤのミニ四駆でも模型化されている。

 加えて、最高出力215psを発生する3.2リッターV6 DOHC24バルブエンジン、前後輪のトルク配分を電子制御するパートタイム4WD、専用チューンを施したサスペンションの採用などで高い走破性も披露した。

ミゼットIIは名車か? それとも迷車か? アナタはどっち派?

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ミゼットIIとして1996年に復活! 新時代に適合したアンダー軽サイズカーという謳い文句で発売された。価格は、46万9000円~59万9000円也

 コンパクトかつ個性的なスタイルで独自の市場を開拓したミゼットIIは1996年4月にデビュー。ダイハツの記念碑的モデルである初代ミゼットを現代風にアレンジしての登場となったミゼットIIは商用としてはもちろん、日常のパーソナルユースにも広く利用された。

 発売当初のボディタイプは1名乗車のトラックのみでトランスミッションも4MTのみという割り切った設定だったが、1997年1月にカーゴタイプを設定するとともにトランスミッションも3ATを追加。

 また、3AT車はコラムシフトを採用することで2名乗車も実現した。翌1998年9月にもマイナーチェンジを実施。当時の軽四輪自動車としては国内最小の回転半径(3.6m)をもつ国内最小ボディサイズだったにもかかわらず新国内衝突安全基準をクリアするなど安全性能を高めるとともに、パワー・エコロジー・信頼性などの面でトップレベルを目指したTOPAZ(トパーズ)エンジンシリーズの3気筒EFIエンジンを採用してクラストップレベルの低燃費も実現。2001年の生産終了までに約1万4000台を販売した。

ユーロRといえば……アコード? それともトルネオ? 

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2000年6月に登場したトルネオ ユーロR。スープアップしたエンジンに加え、ツインサイレンサーを採用することで吸排気効率もアップ。動力性能が大幅にアップした

 アコード&アコードワゴンのフルモデルチェンジが行われた1997年9月に新型セダンと銘打って同時発表されたトルネオ。アコードとは前後のデザインとワゴンの有無という違いはあったものの、その他はすべて同じという姉妹車だった。

 発売当時の最上位グレードは2.0リッターDOHC VTECエンジンを搭載した180psのSiR(4AT仕様)と200psのSiR-T(5MT仕様)だったが、2000年6月のマイナーチェンジで220psにスープアップした2.2リッター DOHC VTECエンジンを搭載したユーロRが登場。専用ギアレシオの5MT、専用ローダウンサスペンション、軽量アルミホイール、高剛性ボディ、ブレーキ強化によって高い動力性能と優れた操縦性能を両立。レカロ社製バケットシート、MOMO社製革巻ステアリング、アルミ製シフトノブ、ホワイトメーターパネルなどの専用インテリアにエンジンヘッドカバーの赤塗装もクルマ好きの心を鷲掴みに。

 2002年10月、新型アコードのデビューに伴って生産・販売終了となり一代限りで姿を消したが、そういった経歴もマニア心をくすぐって止まない。

クラウンが正統派から脱却? あまりにショッキングだったピンクのボディカラー

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ボディカラーのピンクはこのモデルのために新開発されたものだった。テリー伊藤氏がプロデュースことも話題となった

 2012年12月にフルモデルチェンジを行った14代目のクラウン。1955年の登場以来、日本の高級車を力強く牽引する正統派のセダンとして進化を果たしてきたが、そんな正統派のイメージを一変させる一台=ピンククラウンの注文受付期間が正式に発表されたのは2013年7月のことだった。

 フルモデルチェンジと併せて公表された販促キャンペーン仕様車から誕生した特別仕様車のピンククラウンはアスリートG(ハイブリッド車・2WD)、とアスリートG i-Four(2.5リッターガソリン車・4WD)をベースに強烈なインパクトを放つピンクの外板色を採用。クラウンらしからぬボディカラー、ホワイトの本革シートとブラックの内装色との組み合わせが明快なコントラストを生むインテリア、内装にピンクのステッチや差し色を用いることで特別感のある室内空間を演出したことなどが好評を博し、1カ月間限定での注文受付で約650台のセールスを記録。

 2015年3月にもクラウン誕生60周年記念として外板色に空色と若草色を採用した特別仕様車を設定。こちらも大きな話題となった。

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