レーシングチーム・ネーデルランドとハイクラス・レーシングは、2021年のレースに出場した後、今季のル・マン24時間レースのリザーブリストに登録されたことに反応し、両チームともエントリーの取り下げを検討していると述べている。
このふたつのチームは、WEC世界耐久選手権やELMSヨーロッパ・ル・マン・シリーズを通じて、近年のル・マンにおけるLMP2クラスで着実に存在感を示してきた。
両チームは今シーズン、IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権へプログラムを移すことを選択しており、3月10日に確認された62台のエントリーのうち、1チーム以上が出場を取り消さない限り、ル・マンでレースを行うことができない。
レーシングチーム・ネーデルランドのチームオーナー兼ドライバーのフリッツ・バン・イアードは、ACOフランス西部自動車クラブがオランダチームをリザーブリストに加えたことに驚きを示し、状況が変わらなければ今月中にエントリーを取り下げる予定であることを示唆した。
その場合、2017年のデビュー以来、チームは初めてル・マン24時間レースに参加しないことになる。
「それは我々にとってもやや大きな驚きだった」とバン・イアードは述べた。
「来週までに、私たちのチームが(62台が並ぶ)リストに載っていなければ、(リザーブ)リストから自分自身をリコールするつもりだ」
「私はリザーブでいたくない。そんなことをするつもりはないんだ。だから1週間待つ。それまで様子を見てみよう」
ブロンズレーティング・ドライバーは、62台のエントリーリストの大半を占めるACO統括シリーズからのエントリーが多いことを指摘し、この状況に「失望した」と述べる一方、ビジネス面での理解を示している。
「ビジネス的には、なぜこのようなことが起きるのか理解できる」と同氏。
「WECとELMSのエントリーが多く、それらを合わせるとフルエントリーになってしまう」
「(そうしたなかで)なぜACOのイベントに参加していないクルマをリストに入れなければならないのか? そう考えるとビジネス的には、私はそれを理解することができる」
「しかし、感情的には複雑だ。我々はLMP2プロ・アマチャンピオンであり、ル・マンに多くのファンを連れてきている」
「また、オランダでは(レースが)24時間、テレビで放映されることを確認している」
バン・イアードは、WECを離れてウェザーテック・スポーツカー選手権を選ぶ決断をしたことについて、ル・マンへの参戦権がないとしても決定に疑いはなかったと語った。
「私は完全に幸せだ」と彼は説明した。「正直なところ、IMSAを始めたとき、私たちはル・マンでレースをするつもりはなかったんだ」
「ビジネスの面で、私にとってアメリカで年間8レースを行うのは非常に困難だった。だから、IMSAミシュラン・エンデュランスカップ(IMEC)に参加することにした。それは4つのレース、4つの長距離レースだ」
「そしてIMECは私たちにル・マンを目指す機会を与えてくれた。それが我々がIMSAに移行する決定を下した理由だ」
「しかし、もっとも重要なのはIMSAで戦うために決めたということだ。ル・マンに出るためではない」
■マグヌッセンのリザーブ入りは「デンマークのファンにとっての恥」
レーシングチーム・ネーデルランドと同様に、デンマークチームのハイクラス・レーシングもWECのLMP2クラスからウェザーテック・スポーツカー選手権に戦いの場を移している。
アンデルス・フィヨルドバッハが率いるチームは、昨年のル・マンのグリッドに登場したヤン・マグヌッセンとケビン・マグヌッセンの親子ペアを含む2台のマシンのエントリー希望を提出した。
マグヌッセン親子とマーク・パターソンによってシェアされる49号車オレカ07・ギブソンは最初のリザーブに選ばれ、もう1台の20号車オレカは6番目で、最後のリザーブエントリーとなっている。
エントリーリストが発表された週に、29歳のケビンが今年のル・マンとぶつかるF1に復帰することが発表され、ヤンと再合流する可能性は低くなった。
オランダ人とは対照的に、フィヨルドバッハは彼のチームのエントリーが見送られたことに驚かなかったが、サルト・サーキットを訪れるデンマークのファンにとっては悪いニュースだと信じている。
「それをサプライズと呼ぶかどうかは分からないが、以前にも驚きと失望を味わったことがる」とフィヨルドバッハはSportscar365に語った。
「だから、また驚いたり失望したりするような状況に自分たちを置きたくなかったんだ」
「ル・マンの観客の約20%がデンマーク人だと思っているため、それは大きな恥だと考えている。トム・クリステンセンと、23年連続でル・マンを走ったヤン・マグヌッセンのレガシーがあるからね」
「幸いなことに私は失望していないし、驚きもしていない。しかし、それはデンマークの観客にとって大きな損失だと思う。ケビンはデンマークにおける最大の有名人だ」
「ヤンとケビンが一緒にレースをしていれば、そうでないときよりも4万人くらいは観客が増える可能性が高いと思う。しかし、彼らがどのような観点から選んでいるのかは分からない」
「ロベルト・ラコルテ(チェティラー・レーシング)とフリッツ(・バン・イアード)がいないのも残念だ。全員がそこにいられるわけではないことは承知しているが、彼らもまた長い付き合いのある顧客であるだけに非常に残念に思う」
「私たちはACOを信頼していることを示すために、アジアに行くことさえ考えた」
バン・イアードと同様に、フィヨルドバッハも自分の自身のエントリーをリザーブリストから外すことを検討しているという。
「リザーブリストに載るというのは悪夢だ。これは誰もが考えていることだと思う」と彼は説明した。「多くの仕事があり、それを実行するのはとても困難だからだ」
「すべてを完璧にこなすために、適切な努力をすることがすでに困難であることが分かっている状態で、もし(自分たち以外の)全員が30日も40日も先行してしいる場合、それは本当に難しくなる」