Appleが発表したMac Studioに搭載されるSoC、M1 Ultraには64コアのGPUを内蔵し、性能面ではNVIDIA GeForce RTX 3090以上の性能を200W少ない消費電力で実現できると発表会では発表していましたが、どうやらこの発表は極めて限られた条件で一般的なベンチマークではRTX 3090に及ばないスコアだったようです。
64コアのGPUを内蔵するM1 UltraとNVIDIA GeForce RTX 3090
Apple Mac Studio review: finally – The Verge
Appleでは2022年3月8日に新商品発表会を実施しその中で小型デスクトップであるMac Studioを発表と同時にこのPCに搭載される新SoC、M1 Ultraを発表しました。
このM1 UltraにはCPUが高性能コア16コアと高効率コア4コアを搭載した20コア構成でGPUには64コア(8192の実行ユニット)を搭載していますがAppleは発表会にてCore i9-12900KとGeForce RTX 3090を搭載したPCに比べて200W少ない消費電力でより高い性能を実現できると発表をしています。
ただ、これに対してM1 Ultraを搭載したMac Studioのレビューが解禁されレビューワーなどが実際に有名なベンチマークやゲームプレイなどを行ったところNVIDIA GeForce RTX 3090には全く歯がただないスコア結果が出現しているようです。
GeekbenchスコアはRTX 3090の4割。ゲームでも7割程度
海外のテック系サイトである『The Verge』ではMac Studioの発売前レビューが掲載されており、この中でCPUやGPUなどのベンチマークを行うなどしてパフォーマンスを比較しています。この中でCPUに関しては20コアで32コアのRyzen Threadripper CPUに迫るスコアを叩き出すなど発表会で示された通り優れたパフォーマンスが確認できますが、GPUのパフォーマンスに関しては発表会通りの結果には遠く及ばない結果となっているようです。
まず、GeekbenchのComputeスコアです。
GeForce RTX 3090のスコアはOpenCLで215,034ptを記録している一方で、M1 Ultraは83,121ptとRTX 3090に対して約39%のスコアしか発揮できていません。また、Apple製のAPIでもあるMetalを使用したGeekbenchでもスコアは102,156ptという事でこちらもRTX 3090の約半分のスコアしか出せていません。
ちなみに、M1 UltraのOpenCLスコアに最も近いディスクリートGPUはGeForce RTX 2060 Super、MetalスコアではRadeon RX 6800となっていますのでRTX 3090並みではないものの一般的に言うと十分高い性能とは言えそうです。
Shadow of the Tomb RaiderにおいてもGeForce RTX 3090のスコアが大きく優れるという結果になっています。RTX 3090では1080pは142fps、1440pでは114fpsとなっています。ここでは何故か4Kが抜けていますがGuru 3Dのベンチマークでは1080pが169fps、1440pが153fps、4Kが95fpsとなっています。
一方でM1 Ultraでは1080pが108fps、1440pが96fps、4Kでは60fpsを記録していますがRTX 3090と比べると1080pでは76%、1440pでは85%程度の性能に留まっています。
少し気になるのがThe Vergeがどのようなゲームの画質設定でベンチマークを行ったのか明確にされていませんが、Apple Siliconにネイティブ対応していないとは言え、ゲーミングにおいてもM1 UltraはRTX 3090には及ばないようです。
ただ、M1 Ultraでは800GB/sと言う高い帯域幅で接続されたユニファイドメモリーが搭載されているためか解像度が上がるほどRTX 3090との差は少なくなっているのは特徴的と言えるかもしれません。
M1 Maxを2つ合体させているが、性能は30~50%向上に留まる
M1 Ultraでは2つのM1 Maxを2.5 TB/sのUltraFusionと呼ばれるインターコネクトで接続がされておりこれにより合計64コア(8192の実行ユニット)が搭載されています。単純にM1 Maxの2倍のGPUコア数が搭載されています。
ただ、性能面ではリニアに2倍と言う訳では無いようです。
GeekbenchにおいてはM1 Maxを搭載するMac StudioではOpenCLが63,370pt、Metalが69,509ptとなっていますが、M1 Ultra搭載Mac StudioではOpenCLが83121pt、Metalで102,156ptとなっています。スケーリングとしてはOpenCLでは1.3倍、Metalでは約1.5倍となっています。
また、ゲーミングにおいてもShadow of the Tomb RaiderではM1 Maxが86fpsに対してM1 Ultraが108fpsと1.26倍に留まっています。
2x NVIDIA RTX 3090 SLI Benchmarks: 500FPS, 700W, & Limited Support – YouTube
NVIDIAではRTX 3090で2つのGPUを組み合わせるNV Linkに対応していますが、これは112GB/sとM1 UltraのUltraFusionに比べると帯域幅は遅いです。しかし、NV LinkでのスケーリングはGamers Nexusが検証した結果ではShadow of the Tomb Raiderでは104fpsから167fpsと1.6倍の性能向上を達成しておりM1 UltraではUltraFusionなど飛び道具が用意されている一方で性能が伸びにくいシチュエーションは多いかもしれないです。
Apple M1 UltraではRTX 3090より200Wも低い消費電力で同等以上の性能を発揮できると発表会では紹介していましたが、これは相当限られた状況のようでどのような状況でスライド通りの性能が発揮されるのか検証を待ちたいところです。
M1 UltraはRTX 3090には及ばないGPU性能ではるものの、CPU性能ではCore i9-12900Kを大きく上回っておりGPU性能もRTX 2060 SuperやRadeon RX 6800並みと言う事で、これらを小さな筐体に詰め込み、冷却面でも大きな騒音を出さない設計になっているなどMac Studioや搭載されるM1 Ultraは非常に優れていると言えるのでMacOSでも不自由をしないAdobe Premiere ProやAftereffectなどを使うクリエイターなどにとってはRTX 3090を搭載したパソコンを組むより魅力的なモデルとも言えそうです。
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