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ウクライナ議会は1カ月前、暗号資産を合法化する法案を可決し、Bitcoin(ビットコイン)やEthereum(イーサリアム)などの暗号資産の規制と管理の枠組みを準備した。そして現地時間3月16日、同国のVolodymyr Zelenskyy(ウォロディミル・ゼレンスキー)大統領は、法案「暗号資産について」に署名し、規制された暗号資産マーケットを運営するための法的枠組みを確立した。

「議会は暗号資産に関する法律を採択しました。数日のうちに大統領が署名して法制化されると思います。ですから、我々はできるだけ暗号資産に友好的であろうと努力しています。そして、戦時中もこの努力を続けています」と、ウクライナの副首相兼デジタル変革担当大臣のMykhailo Fedoro(ミハイロ・フェドロフ)氏は3月15日、TechCrunchのインタビューに答えている。

Cointelegraph(コインデレグラフ)やCoindesk(コインデスク)などデジタル資産に特化したメディアの報道によると、暗号資産取引所やデジタル資産を扱う企業はウクライナで合法的に活動するために政府への登録が必要となり、銀行は暗号資産企業向けの口座開設を許可されることになる。

この法律はまた、デジタル資産に関する国の政策を決定し、暗号を扱う企業にライセンスを発行し、金融監視機関として機能する権限をウクライナの国家証券市場委員会に与えると伝えられている(実際には、ウクライナの議会は2021年9月に暗号資産を合法化する法律を可決したが、ゼレンスキー大統領はその後すぐに暗号資産を管理するための新しい規制機関を立ち上げる余裕はないとして法案を否認した)。

もしあなたが、ウクライナでは暗号資産はすでに合法だったと考えていたのなら、それはあなただけではない。ブロックチェーン分析企業のChainalysisによると、正式な規制がなくても、2020年秋までにウクライナ人、ロシア人、ベネズエラ人は(この順で)デジタル通貨のアクティブな小売ユーザーの仲間入りを果たしていた。

当時、Chainalysisの調査責任者は「本当にテックネイティブな人口」や「勤勉なスタートアップ環境」など、いくつかのトレンドがウクライナを上位に押し上げているとCoindeskに語った(Coindeskはまた、東欧は他の地域よりもサイバー犯罪活動が盛んで、これも多くの取引量を牽引する役割を果たした可能性が高いと述べている)。

ロシアがウクライナに侵攻し、兵士と市民を同様に殺害し始め、人口4200万人の国から推定300万人が脱出するようになってから数週間、ウクライナは数千万ドル(数十億円)相当の暗号資産による寄付を受け、法律として成立したばかりの規制の種類は新たな緊急性を帯びてきている(NPRはポーランドに逃れたウクライナ難民、およそ180万人をワルシャワの人口にたとえた)。

新しい法律が施行されたことで、ウクライナ初の暗号資産取引所であるKuna(クナ)は、もはや同国が寄付金を暗号資産を扱っているサプライヤーに直接使うことを支援するだけに限定されず、暗号資産を切望されているフィアット通貨に変換することができる。一方、ウクライナはバハマに拠点を置く取引所大手FTXとも提携し、ウクライナの戦争活動を支援する暗号資産による寄付をフィアット通貨に換え、ウクライナ国立銀行に預けることができるようになった。

具体的には、Coindeskが3月14日に報じたように、FTX、KunaそしてとEverstakeというステーキングプラットフォームはウクライナ政府当局と提携し、Aid for Ukraineというユーザー向けの寄付サイトを立ち上げ、Bitcoin、Ether、Tether、Polkadot、Solana、Dogecoin、Monero、Icon、Neoで「自由のために戦っている人々を支援するため」の寄付を受け付ける。

世界中からの資金調達に関しては、暗号資産による寄付がカギを握っている。「我々は5500万ドル(約65億円)を集めることができました。そして、そのすべてはウクライナ軍の要望に充てられました」と、フェドロフ氏は15日にTechCrunchに語った。

Everstakeが指摘したように、この取り組みが「公的金融機関への暗号資産による寄付のリードを提供した最初の暗号資産取引所の例」であることが事実かどうかはわからないが、最初の1つであることは間違いないだろう。

確かに、ほんの数カ月前にニューヨーク・タイムズ紙でウクライナが「The Crypto Capital of the World(世界の暗号資産首都」という見出しで紹介されたときにウクライナ当局が期待していたようなことは起こっていない。

ウクライナのデジタル変革省の副大臣Alex Bornyakov(アレックス・ボルニャコフ)氏は想像を絶する事態が起こる前の11月に、記事の取材で「暗号資産企業にとって世界トップの権威の1つになる、というのが狙いです」と語った。

「我々は、これが新しい経済であり、未来であり、そして我々の経済を後押しするものだと信じています」。

画像クレジット:Vasenka Photography / Flickr under a CC BY 2.0 license.

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(文:Connie Loizos、翻訳:Nariko Mizoguchi