数日前、AppleはM1 Ultra SOCを発表し、その64コアGPUがNVIDIAのフラッグシップGeForce RTX 3090グラフィックスカードより高速であると主張しました。
現在、最初のレビューが発表されていますが、ゲームと計算の両方のベンチマークでNVIDIAの製品がM1 UltraのGPUを単に破壊しているため、この主張は否定されたように見えます。
NVIDIAのGeForce RTX 3090グラフィックスカードは、Apple M1 Ultraの「革命的な」64コアGPUを打ち負かす。
Appleによれば、Apple M1 Ultra GPUは64コアユニットを搭載し、8192個の実行ユニットで最大21TFLOPsの単精度の馬力、660GTexels/s、330GPixels/sを実現しているとのこと。
Apple M1 Ultraのメディアエンジンは、2つのビデオデコードエンジン、4つのビデオエンコードエンジン、4つのProResエンコードおよびデコードエンジンを備えた最新のハードウェアアクセラレーションH.264、HEVC、ProRes&ProResで構成されています。
GPUは128GBのユニファイドメモリにアクセスすることができます。
M1 Ultra SOC GPUパフォーマンス(対NVIDIA/AMD GPU):
Appleはベンチマークのスライドで、M1 Ultra GPUはNVIDIAのフラッグシップGeForce RTX 3090グラフィックスカードと同等のパフォーマンスを提供しながら、200W少ない電力を消費すると主張しています。
しかし、The VergeがMac Studio (Ultra)のレビューで公開した実際のベンチマークでは、全く異なる結果が示されているため、これは単なる主張でしかありません。
ゲームに関しては、「シャドウ オブ ザ トゥームレイダー」を1080p、1440p、2160pの各解像度で比較に使用しました。
NVIDIA GeForce RTX 3090 Tiは、4K解像度で最大32%の性能向上を示し、上位に位置する。さらに、レビュアーは3つの解像度すべてで顕著なマイクロスタッターに気づいたので、ゲームでは、NVIDIAとAMDのGeForceとRadeon GPUが依然としてトップの選択肢になるようです。
しかし、Computeはどうでしょうか?Mac Studioはコンテンツクリエイターやワークステーション向けに設計されているため、Apple M1 Ultra GPUはこれらの特定のベンチマークにおいてかなり優秀であるはずです。
Geekbench 5 OpenCLベンチマークでは、NVIDIA GeForce RTX 3090が215,034ポイントを獲得したのに対し、Apple M1 Ultra SOCは83,121ポイントにとどまりました。
これは、デスクトップPCのGeForceグラフィックスカードが2.6倍になっていることを意味します。
たとえ、MetalのようなAppleに最適化されたAPIを使用したとしても、RTX 3090は2.1倍速いという結果になりました。
ここでもう1つ興味深いのは、M1 UltraはM1 Maxの実質2倍の構成でありながら、テストの計算ベンチマークとゲームベンチマークで性能がそれほどスケールアップしていないことです。
M1 Ultraは、Maxチップよりも25~30%程度性能が優れています。
このことは、AppleのSOCに関する独自の数字にどれほどの信頼を置くべきかを教えてくれるはずです。
公式ベンチマークは、M1 Ultra GPUに有利な選択的なワークロードで行われ、実世界のアプリケーションでは行われなかったようです。
比較のため、GeForce RTX 3090は現在約2000USドルで購入できますが、64コアのフル構成で128GBメモリを搭載したMac Studioは5800USドルなので、価格と性能の比較ができるはずです。
解説:
M1 Ultraの詐欺的な表現がやり玉に挙げられる。
参考:Apple、M1 Ultra SOCを発表:CPUは100Wの消費電力でIntel 12900Kより速く、GPUは200Wの消費電力でNVIDIA RTX 3090と同レベル
私は上の記事の解説でこう書きました。
- CPUはPコア16コア、Eコア4コアの合計20コア、AlderLakeと同じ消費電力で+90%、つまり約2倍の性能、-100Wで同等の性能
- GPUはRTX3060と同じ性能を1/3の消費電力で、RTX3090と同じ性能を-200W(RTX3090は350Wなので、つまり150W)で実現する
ただ、こういう書き方をするからにはちゃんと実機に搭載して稼働した時に、どこか及ばないところがあるのでしょう。
こういうわかりにくい書き方ではなく、ちゃんと実機に搭載した状態で、クロスプラットフォーム対応のベンチマークを走らせてほしかったところです。
ちょっとでもわかる人がみれば、特殊な環境を想定して比較しているとすぐにわかるのですが、初心者の方にはこういう書き方ではわからないでしょうね。
あくまでもAppleが言っているのは効率が優れているという話であって絶対的な性能が優れていると言っているわけではありません。
自作erでこの主張のどこがおかしかったか話を聞いただけでわからなかった人はまだ初心者だと思います。
一般人ならば、仕方ないと思いますが、自作erでこういう主張にあっさり目をくらまされるのは恥ずかしいと思ってください。
Appleの主張はあくまでも、同じ電力で比較した場合の話であって実際にそれが可能かどうかと言う話ではありません。
なので、間違いではありません。単にわかりにくいだけです。
可能であったとしてもSoCでそれをやれば、液体窒素とかDIY水冷などの強力な冷却システムを要するかもしれません。(それでも出来るとは限りませんが。)
自作erならばメモリ帯域幅、動作クロック、TDPなどの仕様をチェックして、おおよその性能がつかめるくらいになってください。
(もちろん検証しなければわからないこともあるので、実際に検証してみることに意味が無いと言っているわけではありません。)
メモリ帯域幅だけを見てもM1 UltraはCPUと共用で800MB/s、RTX3090はGPUのみで1TB/s弱だったはずです。
これを見るだけでもAppleの主張はどこかおかしいと自作erならすぐに気が付かなければいけません。
なぜならば、演算するために最終的にものをいうのは大量の演算のこなすために必要な大量の(キャッシュからあふれるほどの)データの転送量になるからです。(これはもちろん物差しの一つで、いかなる用途にでも通用するものではありません。)
そうならないのに「なる」と言っているのは前提がどこかおかしいということになります。
Appleが主張しているのはあくまでも「効率」で「絶対性能」ではない。
M1 UltraはTSMC5nm、RTX3090はSamsung 8nmですから、設計技術が同等と仮定しても効率ではかなうはずがありません。
Appleとしては自社の製品が勝てる状況で比較するのは当然なのかもしれませんが、あまりに特殊な状況を想定して書けば、それが理解できない人たちから上のように糾弾されるのは間違いないです。
メーカーならば、どこでも同じようなことをしたいと思う気持ちはあるのでしょうが、こういうわかりにくい主張は詐欺的な印象を与えるだけでなく、ユーザーからの信頼を失墜させる可能性が非常に高いのでメーカーの方がここを見ていたら、絶対にやめた方がいいです。
私としてはM1 UltraがRTX3090に両方とも定格で動作させたときに敵わないのは当然のことです。
しかし、わからない人のために実際にレビューして比較する人たちから見るとやはり「詐欺」のように聞こえるのでしょうね。
RTX3090に勝てないからと言って、M1 Ultraの価値がなくなるわけではありません。
むしろ価値は非常に高いと思います。
しかし、一度上のような主張を行い「違うじゃないか」と言われるとやはり苦しい印象を与えてしまいます。
わざわざ比較された方には「お疲れ様」といいたいですから、これ、当たり前のことですからね。(苦笑。
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