南米大陸で「最も技術的に進んだ最高峰ツーリングカー」を標榜する、アルゼンチンのスーパーTC2000(STC2000)が開幕。ロザリオでのオープニングは、2021年に自身2度目の王座に輝いたアグスティン・カナピノ(シボレーYPFクルーズ)の予選最速で始まり、土曜“スプリント”戦はTOYOTA GAZOO Racing YPFインフォニアの“スピードスター”ことジュリアン・サンテロ(トヨタ・カローラSTC2000)が制覇。そして日曜本戦は新生アクシオン・エナジー・スポーツSTC2000として参戦する2019年王者リオネル・ペーニャ(ルノー・フルーエンスGT)が勝利を飾るなど、今季もスタートからシボレー、トヨタ、ルノーの三つ巴となった。
シリーズのメインパートナーである国有石油企業YPFの100周年を記念し『スーパーTC2000 YPF 100イヤーズ・チャンピオンシップ』として幕を開けたシリーズは、母国の英雄ファン-マニュエル・ファンジオの名を冠したロザリオのトラックで“Gran Premio Ciudad de Rosario”として2022年最初の公式セッションを迎えた。
そのプラクティスからさすがのスピードを披露したのがシボレーYPFチームで、王者カナピノと僚友ベルナルド・ラヴァー(シボレーYPFクルーズ)が立て続けにトップタイムをマーク。続く予選でもディフェンディングチャンピオンが最速タイムを叩き出し、シボレーYPFクルーズが1-2を獲得。ルノーのペーニャを3番手に退ける結果となった。
そのまま土曜午後に開催された12周“スプリント”戦では、リバースグリッド8番手からの発進となったカナピノだが、力強いレースペースにも助けられ一時はプーマ・エナジー・ホンダ・レーシングのファクンド・アルドゥソ(ホンダ・シビックSTC2000)を捉えて2番手浮上に成功。しかし8周を終えたところで彼のシボレーはブレーキの問題を抱え、そのままグラベルへと沈むことに。
■決勝トップ5は各マニュファクチャラーが入り乱れる結果に
この展開に助けられ、悠々と首位固めに成功したのがトヨタの68号車をドライブするサンテロで、長年の絶対エースとして君臨したマティアス・ロッシに代わり、今季からチームのリードドライバーを引き継いだ男が、シーズン最初のスプリントで勝利を収め、2位アルドゥソ、3位ラヴァーの順でチェッカー。しかし、3位表彰台を確保したと思われたシボレーに燃料規定違反が発覚し、代わってファビアン・シャナントゥオーニ(ホンダ・シビックSTC2000)が最後のポディウムを得た。
明けた日曜午前の“フルタンクテスト”では、トラブル修復を経たカナピノのシボレーが再び最速となり、抜群のレースペースを確認すると、そのまま40分+1ラップの決勝がスタート。
スタンドの大観衆を前にフロントロウから発進したワークス・シボレー艦隊だったが、3番手スタートのペーニャがすぐさま仕掛け、ふたつ目のコーナーでまずはラヴァーを攻略。トヨタのサンテロ、ホンダのアルドゥソもその動きに乗じて追随する展開となる。
直後にトラブル車両発生でレース中断となり、リスタートでの勝負に注目が集まると、2番手ペーニャと3番手のサンテロがポジション争いを繰り広げる隙に首位カナピノがスパート。優位性のあるペースを武器に、後続を引き離していく。
しかしカナピノの希望は土曜と同じく打ち砕かれ、11周目に突入した時点でシボレーが再びの不調を来し、そのまま戦列を去ることに。レース距離はまだ折り返しを迎える前だったが、首位を引き継いだルノーのペーニャは盤石のドライブでポジションをキープ。追い縋るサンテロを抑え開幕戦を勝利で飾り、最後の表彰台にはアルドゥソを攻略したラヴァーが続き、前日の借りを返すポディウム獲得となった。
そのアルドゥソの背後にはホルヘ・バリオ(トヨタ・カローラSTC2000)が続き、ルノー、トヨタ、シボレー、ホンダ、そしてトヨタと各マニュファクチャラーが入り乱れるトップ5となり、今季も激戦を予感させるSTC2000シリーズ。続く第2戦は、4月10日にブエノスアイレス州バイアブランカに位置するエセキエル・クリソルで開催される。