ひとつのバス事業者を掘り下げて紹介する、バスマガジンの名物コーナー、バス会社潜入レポート。今回は2017年に遡って、7月発売号で掲載した京浜急行バスグループ編を振り返って紹介する。
路線バスでは早くから低床化に取り組んできた京急のバス。中型ノンステップ車も数多く導入されてきた。
一方の高速路線車では、昼行中距離のエアポートシャトルは空港車と呼ばれ、ハイデッカーで運行。夜行の長距離路線では独立3列シートのトイレ付、しかもスーパーハイデッカーの採用に積極的だ。アッパークラスのバス旅を実現している。
(記事の内容は、2017年7月現在のものです)
構成・執筆・写真/加藤佳一(B.J.エディターズ)
※2017年7月発売《バスマガジンvol.84》『おじゃまします! バス会社潜入レポート』より
(京浜急行バスグループ特集 その2)
■早くから車両の低床化を推進 リムジンにはリフト車も導入
●一般路線バスカラー
京浜急行バスの2017年5月31日現在の保有車両数は、乗合798台、貸切11台、特定6台、計815台である。羽田京急バスは、乗合81台、貸切5台、特定11台、横浜京急バスは、乗合11台、貸切5台、特定12台、湘南京急バスは、乗合10台、特定4台を保有する。
グループ全体として、一般路線バスはいすゞ車の比率が高く、リムジンバス・高速バス用としては日野車と三菱ふそう車の新製が続いている。
早くから低床化に取り組んできた事業者で、86年に関東初のノンステップバスを試作。88年からワンステップバスを一般路線車の標準タイプとして導入した。
2000年代に入ると、都内と横浜市内ではノンステップバス、その他ではワンステップバスが主力となり、03年からCNGノンステップバス(すでに引退)、08年からハイブリッドノンステップバスも増備。15年以降はノンステップバスのみ新製している。
路線環境に応じて多様な車種が採用されてきたことも特微で、中型ロングタイプや大型9mタイプが在籍。中型ノンステップバスも数多く導入されている。鎌倉ではレトロ調の「京急りんどう号」も1台活躍している。
●リムジンバスカラー
95年に「京急ポニー号」の名でデビューした住宅地路線の小型車は、日野リエッセ・三菱エアロミディMJから日野ポンチョへと置き換えられつつある。
羽田空港連絡バスやアクアライン系統などの中距離高速バスに運用されるハイデッカーは空港車と総称され、路線の所要時間により、トイレつきとトイレなしが使い分けられている。
16年には初めてリフトつき車両が1台導入された。なお、運行経路上に高さ制限があった羽田~大船・藤沢系統にはスタンダードデッカーが使用されてきたが、制限が解消されたため、今後はハイデッカーに代替される予定である。
夜行路線を中心とした長距離高速バスはもちろんトイレつきで、かつては4列シートと3列シートが混在していたが、現在は独立3列シートに統一された。近年、ハイデッカーに変更する事業者が多いなか、京急ではスーパーハイデッカーの増備を続けている。
■グループ内移籍もある貸切車 契約輸送用の多くは特定車に
●羽田空港シャトルバスカラー
京浜急行バスの一般貸切車は三菱エアロバスに統一されているが、空港車から転用したものと東洋観光から移籍したものがある。新子安の2台ははとバスと共同運行する東京駅~鎌倉・江ノ島コースの定期観光バスに運用。貸切車として新製された三菱エアロエースと京急観光バスから移籍したいすゞガーラである。
羽田京急バスには高速車から転用された3列シートの三菱エアロクィーン、横浜京急バスには空港車から転用された特注仕様の日産ディーゼルスペースランナーが在籍する。
●夜行高速バスカラー
貸切車には契約輸送用の車両が多数在籍していたが、それらは15年に特定車に変更され、社番もSから新設されたTに変更された。都内ではしながわ水族館の送迎バス用として日野製中型車HRを投入。企業送迎や空港関連輸送用として、大型から小型まで多彩な車両が運用されている。
神奈川県内では関東学院大学のスクールバス用としていすゞエルガと日産ディーゼルスペースランナーが活躍。動物園や福祉施設などの送迎輸送用として小型車やワンボックスタイプが使用されている。
京浜急行電鉄沿線に路線を展開しグループ4社で輸送を分担する京急バス
投稿 京急バス地元の羽田空港便やアクアライン系統など高速路線も高密度に運行 は 自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。