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【必読】冬のドライブの後始末! 春に向けての重要なクルマメンテナンスとは

 都心では、今年の冬、何度かチラつき、降り積もった雪も溶けて、日に日に暖かさが増してきた。ヒトも衣替えの季節なら、クルマも春に向けてメンテナンスをすべき時期だ。

 夏前、そして、冬から春にかけてのこの時期のメンテナンスは特に大事だ。冬は降雪や寒冷地へのドライブなどによってダメージを受けやすく、放っておくとクルマをドンドン傷めてしまうことになる。

 さて、暖かくなってきた今こそ、冬のドライブの後始末をしようではないか。

文/高根英幸
写真/ベストカーweb編集部、Adobe Stock(トップ画像=mnimage@AdobeStock)

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■下回りの洗車とメンテナンスで冬の疲れをとってあげよう

放っておくとこのようになる。こうなってしまうと自分でなんとかするのは難しくなる(Aleksandr Kondratov@AdobeStock)

 この時期に下回りのメンテナンスを行なう理由は、主に防錆だ。というのも首都圏でも降雪時には融雪剤を捲くシーンが増えてきた。特に橋や高架などは路面が凍結しやすく、スタッドレスタイヤを履いていても危険だからだ。

 理想をいえば下回りの洗車は、冬が終わる頃だけでなく雪道を走った後、なるべく早急に行いたいものだ。冬が終わったら、キッチリと洗って融雪剤を洗い流してやろう。

 しかも下回りの洗浄は高圧洗浄機を使って細部まで洗浄すればいい、というものではない。足回りにはグリスを塗って慴動部の動きをスムーズにしている部分もある。それらを洗い流してしまうと、走行中にギシギシ、ギィーギィーと異音が発生してしまうこともある。

 そのため下回りをしっかりと洗う際には、高圧洗浄ではなく通常の水道ホースの水圧で十分だ。むしろ水圧よりもしっかりと流水で洗い流すことと、その後のケアのほうが重要なのである。

融雪剤には塩分が含まれるため、車には大敵。下回りを流水でしっかりと洗い流す(kikisora@AdobeStock)

 最近は純正マフラーもステンレス製がほとんどだが、アフターマーケットのスポーツマフラーに使われるSS304とは異なり、単価の安いSS430などの素材が用いられている。そのため溶接部分などからサビが発生していることが多い。

 融雪剤の塩分によってさらにサビを進行させてしまうと、マフラーに穴が空いて排気抵抗が増えたり、室内に排気ガスが侵入しやすくなるので避けたいところだ。

 ボルトのネジ山がサビついてしまうと整備性が悪くなってしまうだけでなく、下取り価格にも影響が出ることもある。

 最近中古車では本州仕入れ、関東仕入れなどと表記されているクルマを見かけるのは、地元は降雪地帯で融雪剤を道路に撒くため、下回りがサビてしまっているクルマもあるからだ。そのため購入を検討しているヒトを安心させようという配慮なのである。

■下回りの洗浄後は防錆ケア

シャーシブラックにはクリアタイプのものも存在する(phantom1311@AdobeStock)

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 さて、下回りの洗浄が終わったら、日にちを置かないようにしてケアへと移りたい。要は油分や塗料で表面をコーティングしてやるのだ。

 最も一般的なのは、シャーシブラックというクッション性のある柔らかい塗料をスプレーする。昔は下回りは、このシャーシブラックでコーティングすることが義務付けられており、コニやビルシュタインの高性能なダンパーも車検時には真っ黒く塗られてしまうこともあった。

 このシャーシブラックを塗装してもいいが、見た目が黒くなってしまうのと塗った部分と塗らない部分がクッキリと分かれてしまうのが嫌だというヒトもいるだろう。そんな場合には、透明タイプのシャーシブラックを利用するのがお勧めだ。

 防錆という点でいえば、より効果の高いケミカル剤もある。ノックスドールは整備工場などプロのメカニックも使う実績のある防錆剤だ。またCRC3-36などマリン用の高粘度な潤滑剤をスプレーしておくのもいい。

 ただし、よほど車高の高いクルマでない限り、下回りにスプレーで塗料を塗るのは難しい。この作業をするにはしっかりとしたガレージジャッキとジャッキアップしたクルマを支えるリジッドラック、そしてジャッキアップしても安定しているコンクリート製の床、キチンとジャッキアップできるスキルが必要だ。

 ボディも隅々まで洗い、塩分をしっかりと落としておく。サビの原因にもあるので、落ち葉や砂など水分を含みやすい異物をボディの開口部などの隙間に残さないようにしよう。

 足回りでは、さらにディスクローターの摩耗具合も確認しよう。都会の雪道を走ると、チェーンによってアスファルトが削られ、小石混じりの雪を巻き上げることもある。

 その際にディスクブレーキに小石を噛み込んでしまうと、ディスクローターがレコード盤のように溝が入った凸凹な減り方をしてしまうことがある。

 これはブレーキ鳴きや偏摩耗によるジャダーの原因にもなる。ブレーキをかけた際に変な音がしたり、ローター表面が今までとは違う減り方をしてきたら、そうした異物が原因の可能性もあるので、点検することだ。

■エンジンルーム内の春対策メンテナンス

クーラントの濃度も適切に。希釈するときは水道水ではなく精製水を使うようにしたい(U-image@AdobeStock)

 暖かくなってきたら、エンジン回りの冬対策はもう必要ない。そのままにしていても壊れることはないが、気温が上昇してくると最適な仕様とは言えなくなってくるので、メンテナンスしてやった方がクルマの負担は少なくなる。

 その最たるものはクーラントだ。LLC(ロングライフクーラント)は濃度により氷点を調整することができる。

 水で薄めない分氷点は下がるが、冷却性能としては若干低下するので、真夏は水温が上昇したり、電動ファンが余計に回ってバッテリーやオルタネータの負担が増えることになる。できれば適正なレベルまで水で薄めたいところだ。

 最近のクルマはクーラントも量が少なめなので、リザーバータンク内のクーラントをポンプなどで吸い取り、水を補充してやるだけでも希釈することができる。

 この場合、使う水を水道水にしてしまうと不純物やカルキなどが水路内で結晶化して、ラジエターコアを目詰まりさせてしまうので、できれば精製水を使うようにしよう。

 精製水はバッテリー補充液としてカー用品店で安く手に入る。ドラッグストアなどで販売されている高い精製水を使う必要はなく、工業用で十分なのだ。

 ウインドウウォッシャー液も希釈率で氷点が変わる。これは濃いと使った時に窓に残りやすいので、ギリギリまで水で薄めて使い、減ってきたら水を足してさらに薄めることで、本来の濃度に近付けよう。

 そして冬を乗り切ったバッテリーは、外気温の上昇に伴って活性が上がり、朝の一発目の始動も力強くなった印象を受けるかもしれない。しかし、リチウムイオンバッテリーほどではないが、鉛酸バッテリーでも一気に能力が低下することはあるので、コンディションには気を付けたい。

 2、3年ごとに新品バッテリーに交換している慎重派なら問題はほとんどないだろうが、資源の有効活用から考えるとまだまだ使えるバッテリーをリサイクルに回してしまうのももったいない。しかしバッテリー液のレベルは密閉型では分からないのでインジケーターで判断するしかない。

 充電量、放電能力などはバッテリー充電器や専用のテスターで測定できるので、自分でメンテナンスしてバッテリーを長持ちさせたいヒトは、揃えることだ。充電環境さえ用意できれば、バッテリーが長持ちする分、充電器代などすぐに元がとれる。

■スタッドレスタイヤのメンテナンスと保管が一番厄介?

スタッドレスタイヤは外して保管する前に水洗いを(Sved Oliver@AdobeStock)

 スタッドレスタイヤから夏タイヤに履き替えたら、スタッドレスを保管することになるが、走ったそのまま収納しておくのでは不十分だ。まずはタイヤを水洗いして汚れを落とそう。タイヤゴムにとって汚れや紫外線、高温多湿、油分などは劣化の原因になる。

 タイヤの空気圧は、クルマを支ええるために利用しているので、タイヤホイールだけで保管する時には、規定の空気圧を維持する必要はない。

 それどころか、空気を抜いて下げておかないとタイヤにとっては負担になり、タイヤ内部やゴム表面の劣化を早めてしまう。しかし完全に空気を抜いてしまうと変形の原因にもなるので、規定の空気圧の半分程度に下げておこう。

 保管は屋内ならそのまま積んでおけばいいが、屋外であれば袋に入れるなど紫外線や水分から守ってやるようにしよう。専用のタイヤラックなどに立てて保管するか、床などに横に置いて保管するのだが、どちらもできれば変形を防ぐために2、3ヵ月に1度、積み直して位置を変えておくといい。

 マンションのベランダなどに積み上げて保管するのであれば、エアコン室外機のそばには置かないようにしよう。室外機の内部にあるモーターは、稼動することでオゾンが発生する。オゾンは殺菌にも使われる強い酸性の気体で、これもゴムを劣化させるからだ。

雪の季節は負担が大きくなりがちなワイパーのケアも忘れずに(kelly marken@AdobeStock)

 ワイパーはブレード全体をゴムで覆った雪用ワイパーなどを使用していたなら、通常のワイパーブレードに交換しておこう。その際、外したワイパーも適当に保管せず、キレイに洗って元のパッケージなどに入れて保管しておくと、ゴムの傷みが少ない。

 ワイパーブレードはゴム部分だけの交換も可能だ。純正のワイパーでもゴムだけなら交換費用は数百円程度で済む。交換はちょっとコツが要るが、慣れれば1分くらいで交換できるようになる。

 ワイパーゴムを均等に押し付けるブリッジ状のスタビライザーが変形してヘタってしまうまではゴムだけの交換でいけるので、ワイパーの拭きムラが気になるヒトは、ゴムだけの交換を試してほしい。

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