夫婦間のトラブルにより、片方の親の同意なく子どもを連れ去って別居する行為が横行している問題で、警察庁刑事局が都道府県警本部に対し、「近年の国会でも取り上げられており、重大な被害に発展するおそれもある」として、連れ去られた側のパートナーから被害を届け出られた場合などに「適切な対応に遺漏なきを期する必要がある」と通達していたことが明らかになった。
通達は2月21日付。自民党の柴山昌彦元文科相が10日、ツイッターで通達内容を公表した。
警察庁から各都道府県警本部刑事部局に宛てた2月21日事務連絡の文書を入手しました。私がツィートしたとおり
①連れ去り
②連れ戻し
それぞれの訴えがあることを明示し、「この種事案については…被害の届出等への適切な対応に遺漏なきを期する必要がある」として参考に2つの判決理論を添付してます。 pic.twitter.com/NVLO4rxvCx— 柴山昌彦 (@shiba_masa) March 10, 2022
柴山氏は2月3日、会長を務める超党派の共同養育支援議員連盟の総会で、警察庁側から、一方の親による連れ去り行為が「正当な理由のない限り未成年者略取罪に当たる」と明言し、現場に徹底するとの意向を報告されていたことを明らかにしていた。この時は警察庁が従来より踏み込んだ姿勢を見せたことが注目されたが、共同親権導入の反対派や一部野党議員が警察庁の見解が本当だったのか疑義を示していた。
しかし、同連盟の3月8日の総会で、警察庁が各都道府県に対し、改めて連れ去り行為が犯罪の可能性があるとみて対応する姿勢を示し、都道府県警に通達したことを報告。この日公表された文書は一連の警察庁の変化の裏付けとなる。
「柴山発言」があって以降もネットでは、連れ去り被害の親などからは「警察に相談に行っても動いてくれない」などの訴えがしばしば見受けられたが、柴山氏は同日のツイートで「私から現場に徹底されていないのでないかと指摘したところ、被害受付担当に周知されるようにすること、また不十分な対応をされたことを含め、各都道府県警本部に相談電話窓口を添付のとおり設置する旨の答弁をいただいた」と報告。警察庁は同通達で、最高裁が過去の連れ去り事案で同罪で有罪判決を下した判例も参考に添えており、今後は捜査現場が周知した通りに動けるか問われることになる。
(承前)私から現場に徹底されていないのでないかと指摘したところ、被害受付担当に周知されるようにすること、また不十分な対応をされたことを含め、各都道府県警本部に相談電話窓口を添付のとおり設置する旨の答弁をいただいた。(続く) https://t.co/F1XX5TPart pic.twitter.com/2gr2DQ1yXH
— 柴山昌彦 (@shiba_masa) March 8, 2022